文豪の涙
□虎の子を拾ったようで
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『疲れましたねえ……』
そうつぶやいて、夜道を歩く私。
初めまして、桜蘭 夕姫というものです。
私は今、海外のお仕事を終えて帰宅途中。
お仕事といっても、情報を売るだけなんだけど。
私の所属している探偵社に寄ろうと思ったけど
時間的にあれかな、と思いとどまりアパートへ
歩いている。
独りで歩みを進めていると、鞄がブルブルと
震えた。
どうやら、携帯が鳴っていたみたいだ。
開いてみると、電報(メール)が一件。
しかも、送り主は治さん。
治さんこと、太宰治は武装探偵事務所の
一員で、私との付き合いもそれなりに長い。
どうしたんだろうと思い、電報(メール)を
開いてみると、明日の朝探偵事務所に来て欲しい
という内容だった。
元々行く心算だったんだけども……
なんで朝?
『ま、いいか。』
予定がちょっと早くなっただけだ。
了解の電報(メール)を送り、いつの間にか
到着していたアパートの自室に入った。