文豪の涙

□初めまして
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*side敦*

僕は、入社テストを(無理やり)うけ、
探偵社(ほぼ強引)に入社した。


そして今さっき谷崎さんから物凄い
謝罪を受けて、現在太宰さんを待っている。


なんでも、会わせたい人がいるらしい。


(どんな人だろう……)


太宰さんのような自殺マニアではないことを
祈ろう……


そう思っていたら、探偵社の扉が開いた。



「只今〜、連れてきたよ。」


『ごめんなさい……遅刻しました……』



太宰さんの声と共に聞こえたのは女性の
声だった。


振り返ると、そこには白い長髪で琥珀色の
瞳をした女性がいた。

淡い水色のワイシャツに、ゆるくネクタイをして
ジーンズを履いている。



「夕姫じゃないか、おかえり!!」


乱歩さんが女性に思いっきり抱きつく。



『ら、乱歩さん……た、だいま。』



女性は苦笑してそう挨拶する。



「おや、いつ帰ってきたんだィ?」


『昨日だよ。あ、お土産あるんだ〜。』


乱歩さんから離れてもらった女性は
与謝野さんと仲良さそうに話している。



「夕姫?目的忘れてないかな?」



『……あ。』


太宰さんに言われ、目的を思い出した
女性は僕のところへ来た。



『君が、敦君かな?』


「あ、は、はい。」



琥珀色の目に見られ、少し緊張する。


『初めまして、桜蘭夕姫といいます。
ここの専属情報屋です。』


長い付き合いになると思うから、よろしくと
言ってにこりと笑う夕姫さん。


それに僕は、見蕩れて顔を赤くした。


「よ、宜しくお願いします!」



『よろしくね。可愛い〜♪』


よしよしと頭を撫でる夕姫さん。




「夕姫、社長に挨拶したのか?」


国木田さんの一言に、夕姫さんは忘れてた!
と言って社長室のなかに行った。




「独り占めは良くないよ。」


そう太宰さんに言われた時に僕は気づいた。



夕姫さんは、みんなに好かれているんだと。
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