文豪の涙

□マフィアの狗
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お客さんの話は潤君が聞くことになり、
他の人はその後ろで待機。


ちょこんとソファに座る女性は可愛らしいが
やっぱり何処かで見たような顔。



(あー、何処で見たんだっけー…)



ずっと考えているけど、全く思い出せない。




どうしたものかと考えていたら、突然治さんが
女性を口説き始めた。


まぁ、内容は一緒に心中してくれないかとか
そういうのだけど……


速攻で独歩さんが叩いて私が別室に連れていく。



『もう……振りだとしても一寸(ちょっと)
やりすぎじゃない?』


ソファに座った治さんのとなりに腰を下ろし、
呆れ半分の溜め息をつく。




「そうかな?でもほら!気づかれにくく
するには、あのくらいしないと。」



『私が作った盗聴器は軽いから気づかれにくい
もん。』


「知ってるよ。でも、念のため。」


『ならいいけど……』



さっき治さんがあんなことをやったのには
きちんと理由があって、女性に盗聴器を
仕掛けていたのだ。



「それで、夕姫はどうするの?」


盗聴をするためのヘットフォンをする治さんに
一緒にいる?と言われたが、首を横に振って



『私は敦君のサポートに行ってくるよ。』



緩みかかっているネクタイを締めて伸びをする。




「私よりも敦君優先だなんて妬いてしまうな……」



少しむくれた様な治さん。
そんな彼に向かってくすりと笑いかけて、


『そんなことで妬かないの。いつも私が
危ないときに助けに来てくれる治さんの
方がカッコイイもの。』



頼りにしてます、と言って部屋を出る。



扉を閉めた時に聞こえた、気をつけて、
という言葉に口元を緩めて敦君たち探しを
開始した。






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