死神の涙

□月が嗤う夜に
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『グロウー、どこに行った?』



街が闇色に染まり、家の窓から漏れる光が
少なくなった時間。



僕は散歩から帰ってこないグロウを探しに
夜道を歩いていた。




『全く......散歩に行くと帰ってこなくなるな。
探す僕の身にもなってくれよ。』



ブツブツと文句をいいながら、歩みを進めていく。




『おーい、グロウー......ん?』




ふと近くに人の気配がある事に気づいた。



(こんな夜更けに出歩くのなんてグロウ位
だよね。)



なら、気配のする方に行ってみよう!













気配のする方に来たのはいいけど、そこにいた
のは、グロウじゃなくて.........



「ちょっとソウル!囲まれちゃったじゃない!」


〈オレのせいかよ!元はと言えばお前が
原因だろ!〉





ただ今喧嘩真っ最中の女の子と、その子が
持っている鎌だった。
それプラスその子を囲んでる殺人鬼たち。




(どこに行ったんだよグロウ......)




いや、もう探すのやめようかな。
家の鍵閉めて寝ちゃっても僕は悪くないよ、
悪いのは帰ってこないグロウだし。




(まぁ、グロウのことはいいんだけど。)



あの子と鎌は放っておけないなぁ......


鎌が喋ってるってことはあいつんとこの
生徒だろうし。





(仕方ない、助けてあげようかね。)




すっと気配を消し、殺人鬼の背後に回る。



そしてー、そのまま〜回し蹴り〜。





「がはっ!?」





あ、なんかちょっとスッキリ。
グロウ探しのストレスが消えたね!





『背後がお留守だよ、殺人鬼さん。ほら、
丸腰の一般人の魂が食べれるチャンスだ。
捕まえた人に僕の魂をあげよう。』



捕まらないけどね☆






男たちは僕にターゲットを変えて襲いかかってくる。




それをひらりと交わしながら女の子に声をかける。





『ほらお嬢さん!ぼさっとせずに攻撃しなさい。
僕がちゃんと引き付けるから。』




声をかけると女の子はハッとしてすぐに
鎌を構えた。




うん、良い構え方だ。
きっといい職人さんなんだろうね。




ひらひらりとコートを翻(ひるがえ)しながら
凶器をよけること数十分後。






『よし、片付いたね。』




殺人鬼達の姿はもうなく、あるのは赤い
【悪人の魂】だけだった。





「あの!」



『ん?どうしたんだい?』






呼ばれて振り向くと、先ほどの女の子と
白髪の少年。

白髪の少年は、先程の鎌の子だろう。




「ありがとうございました!助けてもらって......」




『いやいや、礼には及ばないさ。僕はたまたま
通りかかっただけだしね。』



「危険な目に合わせてごめんなさい......」




『いいって。勝手にやったんだ、君が
謝ることじゃない。にしても、魔鎌なんて
久しぶりに見たよ。』



僕の知り合いにもいるけど、アイツは難癖、ありすぎてちょっと......




『さて、と。グロウも見つからないし
僕は帰r「スノウ!」見つけたー。』




「お前どこ行ってたんだよ!帰って
居ないから焦っただろーが!」



『お前を探してたんだよ馬鹿。その途中に
死武専生見つけたから助けたんだよ。』




黒髪に黒い髪をした男、グロウ・ノイズィリーを
一発叩いて怒る。




「死武専とか懐かしいな。死神元気かな。」



『あー、デスさんね。知らん。』




「死神様と知り合いなんですか!?」




女の子がビックリしたらしくそう声をあげる。


少年も驚いているみたいだ。





『まぁね。こんなところで立ち話もなんだ、
家においで。デスさん......死神に報告も
あるでしょう。』




「アンタ何者だよ。」



『あぁ、まだ少年たちに教えてなかったね。
僕は響渚結。自由を愛する一般人だよ。』













月が、僕を見て、嗤っていた。

偽りの、僕を見て。




















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