祓魔師の涙

□今日から祓魔塾生になります
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朝、カーテンからさす陽の光のまぶしさで
目を覚ました。



『………もう、朝か。』





まだ眠気が残っているが、あまり遅いと
怒られてしまうのでベッドから体を起こす。




ふらふらと部屋内の窓を開けると、風と共に
桜の花びらが入ってきた。




『早いものだなぁ……』



しみじみと思っていたら部屋のドアがノックされた。



『起きてるよシルキー。』



窓からドアへ振り返りそう言えばドアが
開かれ、銀髪の女性が入ってきた。




まるでフランス人形がそのまま出てきた
ような容姿の彼女はシルキー。



シルキーは家事をしてくれる妖精。
うちに住み着いてくれている。



シルキーは私の手を引き、リビングへ。



そこには美味しそうな朝ごはんと、着替えが。




『ありがとうシルキー!』



ギュッとシルキーに抱きつけばギュッと
抱き返してくれた。




朝ごはんを食べているといつものように
シルキーが髪をとかしてゆるく結んでくれる。




(このやりとりが毎日できなるなるのは
寂しいなぁ……)



今日から私は祓魔師になるために【聖十字学園】の学長の部屋に引っ越す。




なんでも、祓魔師になるための塾には
家からは通えないらしい。



まぁ、家は特殊な結界やらなんやらが
張り巡らされてるといっても過言じゃないので仕方ないけどね。





シルキーを連れていってもいいのだけど、
そこの学園長(というか理事長)が嫌い
らしく、嫌がった。



ので、断念。




『シルキー、できるだけこまめに帰って
くるからね。』



そう言うと彼女は少しだけ微笑んだ。


あとで暖炉の上にクリームを置いておこう。
きっと喜んでくれる。






朝食を済ませた私は着替えて軽い身支度を
済ませる。



『よし、こんなものかな。』



必要なものたちをまとめたバックをリビングに置き、庭に出る。




『父さん、母さん。』



庭にある二つの墓標に向かいそう呟き、
手を合わせる。




『今日から二人みたいになれるように
祓魔塾に通うの。武器作りも一人じゃ
できない未熟な娘だけど、どうか見守っててね。』



そう誓うように呟き、家の中に戻る。



リビングにあるバックを持ち、シルキー用の
クリームを暖炉の上に置いて玄関へ。



『行ってきます。あとはよろしくね。』



がちゃりと家を出ると家の前にはピンク
の車が。



目が痛いし、なんか……うん、派手。





車から人が降りてきた。




ピンクのスカーフの目立つ目もとに隈の人だ。



『メフィストさん。』



「goodmorning、千世さん☆」




この人が例の学園の理事長、メフィスト・フェレス。


この人は、悪魔と呼ばれるモノらしい。


なんでも人に取り付いているとか……





そこらへんの仕組み、イマイチ良く分からないんだよね……




「さぁ、千世さん乗ってください。
祓魔塾の時間までまだまだありますけど
荷物の整理があるでしょう?」



『あ、はい。よろしく、お願いします。』



ペコリと頭を下げると優しくなでられた。


















祓魔塾に期待と不安を持ちながら、私は
車へ乗った。





















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