短い涙

□予防接種
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(この時はまだ太宰、夕姫がマフィアです)




ポートマフィアの基地にある治さんの部屋で
私は本を読んでいた。



(龍も治さんも遅いな〜......)




先程、仕事を片付けてくるから待っていて
と言われ、こうして大人しく本を読んでいる
訳だが......




『飽きた。』



もう何度も読んでいるうちに読書に飽きて
しまったのだ。




『紅葉さんの所行こうかなぁー。』





紅葉さんはかまってくれるし。





そうと決まった私は紅葉さんがいるだろう
所へ走る。




『紅葉さーん、ってあれ?』



部屋には紅葉さんがいない。
しかも、側近の部下たちも見えない。




『いないのかなぁ......中也はいるかな?』




紅葉さんの次は中也に。
あいつはそこら辺にいるだろう。





建物内を走っていると、中也ではなく
織田作さんがいた。





『あ!織田作さん、こんにちは。』


「元気だな、夕姫。どうした、走り回って。」



織田作さんは治さんの友人で、マフィアの
雑用係りらしい。

でも、休みの日はよくケーキやお菓子を
くれたり本を貸してくれる。



「そういえば、あれやったか?」



『あれ?』




やってないのか、と呟く織田作さん。



『あれって何?』









「予防接種。」







その一言にぴしりと体が硬直する。




「あ、いたいた。夕姫、探したよ。」



ひょこっと織田作さんの後ろから顔を出す
治さん。




「夕姫、おいd『嫌だ。』......織田作、
夕姫に予防接種のこと言ったでしょ。」






そう、私は注射が嫌いなのだ。

痛いからっていうのもあるけど、昔闇市の
商品だった頃によく大人しくさせられる
時いっぱい麻酔とか睡眠剤とかやられて
トラウマなのだ。






『嫌だ、絶対に嫌だ。』




「芥川君は受けたよ?」



『龍と私は違うもん。絶対にやらない。』



「でも、風邪引くよ?」



『風邪ひいても治るからいい。』




兎に角、注射は嫌だ。
嫌い、無理、嫌だ。







(絶対にあれはやらないもんね!)











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