喰種の涙(BLD)

□人と喰種の世界
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「あら、お醤油切れちゃった……」


ある日、夕飯を作る母さんがそう呟いたのを
聞いた俺は自ら買いに行くと行ってスーパーへ
行った。



いつもなら兄ちゃんと二人で行くんだけど
父さんと遊んでいたからひとりなで行くことに
した。



無事買い物を終わらせ、ちょっとした達成感を
味わいながら家へ帰る。



『ただいまー!』



いつもなら、ここで母さんがおかえりって
言ってくれるか、父さんが来てくれるか
なんだけど、誰も来ない。



『??たーだーいーまー!!!』



さっきより大きな声を出しながらリビングへ
行く。



なんだか鉄臭い。



ひょこっとドアから中を除くとそこは
真っ赤だった。



父さんと母さんが赤い海の中に浮かんでる。


あれは、血だ。



「奏!」



『!!兄ちゃ……ん…と、だ、れ…?』



奥の方から兄ちゃんの声がしてそちらへと
視線をやると、兄ちゃんと兄ちゃんを捕まえてる
真っ赤な目をしたヒトがいた。



「逃げろ奏!こいつは喰種だ!!」


『ぐー、る……』


「早くいけ!!おまわりさんとこいけば
たすけてもらえるから!」



『でも、兄ちゃんをおいて…』


「早くいけってば!!俺はすぐ行くから!!」



じたばたと兄ちゃんはもがいてるけど全く
聞いてないらしい。


喰種は、赤く脈打つ尻尾みたいなのを出した。



(あ、あれ確か赫子……だっけ。)



いや、あれどうすんのかな。













ドスッ、て重いようなうまく表現出来ない
音が響いた。







兄ちゃんの胸から溢れる紅。



『に、ちゃ……』




もがいてたはずの兄ちゃんの手足がだらんと
落ちる。




ああ、壊れてしまった。





日常が、幸せが、家族が。




俺のすべてが、終わった。





『は、はは……ふざ、けんなよ……』




おい、何言ってんだよ俺。殺されるよ。




でも、なんだろう。




こいつだけは、許せない。




ごめん、兄ちゃん俺やられっぱなし嫌いなんだ。




神様でも、悪魔でも、何でもいいからさ。




俺がやれる全部やるから、お願いだ。





こいつを倒せる力を寄越せよ。





気づいたら、俺は何かを持ってた。




真っ赤な刀身と白と黒の混ざった取っ手の
日本刀みたいなヤツ。




そこからはあんまり良く覚えてない。





気づいたら、俺の全てを奪った喰種が濁った
赤い目で天井を見てた。




俺も、その後何かに引っ張られるように
気を失った。


















2015.08.17 ソラ
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