文豪の涙(BLD)

□探偵事務所入社試験
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〈翌日〉



おはようございます、俺は今何処にいるでしょーか!!




正解は〜、探偵事務所内の社長室です。



ええ、福沢社長と一緒にいます。





昨日、あの後社員の皆さんに挨拶をして
仕事内容や雑務を教わった。
(ナオミのボディータッチが多かったのは
何故だろうか。)


そして、社長に挨拶をし夜に敦の入社試験の
内容を決め、俺は社長室から社長と一緒に
見届ける役目になった。



入社試験は、爆弾魔になりすました潤から
人質のナオミを助け出すというまぁ、なんとも
面白い噺だ。



ん?社長室の中からじゃあ見れないって?



はっはっは、俺の能力舐めんな。




『《白雪姫 魔女の鏡》』



目を閉じ、白雪姫に出てくる魔法の鏡を
イメージしながらゆっくり目を開くと
目の前には大きな鏡。



『鏡さん、敦の入社試験を見たいんだ。
写してもらってもいいかな?』



そう言うと鏡の中が揺らめき、犯人役の
潤、人質のナオミ、あわてふためく敦、
国木田さん、治さんの姿が見えた。




おお、なんか修羅場だな。



敦がどもりながらも潤を説得してる。
しかも顔が真顔で怖いよ。



(苦労してきたんだなぁ、敦君よ。)



「蓮。」



社長さんに呼ばれて振り返るとソファに
座るよう促された。



あ、行儀悪かったかな?



おとなしく座り、鏡を見つめる。



「お前が入社してくれて助かった。
これからは、市民のためにもよろしく頼むぞ。」



『え、あ、はい。頑張らせてもらいます。』



いきなりの事に吃驚して少し噛んでしまった。


福沢さんと話す時ちょっと緊張するんだよな。
なんか背筋が自然に伸びる。



「だが、無理はするな。危なくなったら
誰かに助けを求めろ。わかったな?」



『はい、それいつも福沢さん言いますよね。』



此の人は優しい人だから、いつも俺の事を
心配してくれる。



まるで、本当の父親と錯覚する程に。



福沢さんの優しさを噛み締めていると
鏡の中から敦の「試験!?」っていう
叫び声が。


そろそろ終わりかな。



福沢さんが立ち上がり、俺もその後ろに
隠れるように続いて部屋から出る。



社長室から出てきた俺たちに敦は凄い
驚いてた。


福沢さんは敦に合格だということを伝え、
後のことを太宰さんに一任してまた部屋に
戻って行った。



俺も異能を消し、敦に近づく。




『よっ、お疲れ様だな敦。』


「蓮!ここの社員だったの!?」


『いや、俺は昨日なったばっかり。
どっかの誰かさんの策略にはまってね。』



おい、そこの包帯の奴笑ってんじゃねぇぞ!!
元凶はお前なんだからな太宰さん!!



『潤もお疲れ。』


「ありがとう……」



一番大変だったのは潤だよな……
国木田さんに振りとはいえ蹴り飛ばされてるし。
頬が赤いし、痛そう。


よし、治してやるか。



『《髪長姫(ラプンツェル)》』



俺の髪が金色になり、10cmくらい長くなる。


これは回復用のもので、触れた所を治すことが
出来る。


けど、直している最中に髪を切られたり
手を話したりすると解かれてしまう。


それだけじゃなくて、重症だったりすると
結構時間がかかるから体力消耗がすごい。


あと、当たり前だけど死んだ人を治すことはできない。



そっと潤の頬に触れると少しずつ腫れや
赤みが取れていく。



これくらいなら時間もかからないな。



『はい、終わり〜。もうこれで痛くないからな。』


「ありがとう。本当に便利だよね、連の
異能ッて。」


へにゃっと笑う潤につられて俺も笑う。



噺家の能力を解くと、どうやらみんな
探偵事務所のある建物の1階にある喫茶店に
行くことになったらしい。



ちなみに探偵事務所は3階だ。





「連も来い。お前も一員なんだからな。」




国木田さんにそう言われ、頷いてみんなと一緒に
下へと降りた。












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