文豪の涙
□マフィアの狗
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龍は力の抜けた私を支えて、安全そうな所へ運んだ。
「あの虎を捕まえるまでそこで待っていろ。」
そう言って敦君のところへ行く龍。
今私がいる所から二人の様子は見えない。
異能を解いて、溜め息をつく。
(治さん何してんのかなー……)
盗聴器で聞いてるんならもう来てるはず
な「私ならいるよ?」
『お、治さん!?』
いつの間にか建物の影から出てきてた治さん。
というかさ……
『居たならもう一寸早く出てきよ!』
「あはは、ごめんごめん。立てる?」
治さんの手を借りて立ち上がる。
『はぁ……私もまだまだ弱いなぁ。』
昔よりは強くなったつもりだけど……
まだ私は弱いみたいだ。
「ふふ、そんなことはないよ。夕姫は
考え過ぎ。」
『はーい……』
はぁ、ともう一度ため息をつくと突然轟音が
当たりを震わせた。
龍と敦君が戦っているんだろう。
「よし、行こうか!」
走り出した治さんの後を私は追いかけるように
して、走り出した。
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