文豪の涙

□少年の不安
3ページ/4ページ



敦君の手を取って探偵社へ向かって走る。


探偵事務所はビルの三階にあるため、
階段を登らなきゃ行けない。


『敦君!階段のぼるからちゃんとついてきてね!』


「っはい! 」


危ないので手を離して階段を登る。
面倒くさいから何段か跳ばしてるけど。



と、前方に銃を持った黒ずくめのお兄さんが
いた。


『ポートマフィアの下っ端さんか。』


なら、早く片付けちゃお。


先程より力を入れて階段を登る。


お兄さんが此方(こちら)に銃を向けるのより
速く回し蹴りを繰り出してそれを叩き込む。


と、簡単に伸びてくれた。



『やったね、一発♪』


最近は体術そこまで使ってなかったから
心配だったけど大丈夫だった。


三階まで登り、日々の入っている探偵事務所の
ドアを開ける。


中にいたのは、独歩さん、乱歩さん、晶子さん
賢治君だった。

あ、後山積みになってるポートマフィア。





「おお、帰ってきたか。夕姫、遅刻だぞ。
片付け手伝え!」


『私は情報収集だよ。……あ、黒蜥蜴だ。』


あー、広津さん投げ飛ばされて独歩さんに
抑えられてる。
銀君と立原君ものびてるし。

下っ端さんなんて、あっちこっちにいるし。


『これ(ポートマフィア)どうするの?』


「窓から棄てとけ。」


うわ、独歩さんそんなゴミ捨てるみたいに……


まぁ、でも邪魔だから落としちゃおうかw



『って、もう棄ててるし。』


賢治君と晶子さんがもう棄ててるし。


「夕姫、そこの坊主取ってくれないかィ?」


『あ、はーい。』


私は目を回していた銀君と立原君を掴んで
引きずる。
あー……重いね、成長期の男の子って。



「全く……また備品を買わなきゃならないな。
下からの苦情も来るだろう。」


手帳をめくりながらそうため息をつく独歩さん。


『仕方ないよ、これだけ暴れたんだもん。
壁の修理費代くらいなら持ってもいいよ。』



「悪いな。」


『いえいえ、このくらい安いもんよ。』



壁の修理費代くらいなら全然困んないしね。




「ねー、夕姫〜。僕今から名探偵の仕事行くけど
行かないかい?」



『あー、ごめんなさい。ちょっと買う
ものあって。』


「そっかー、じゃあまた行こうね。」



『はい!』


「じゃあ、他の人を誘うよ。」


『敦君は?』


ふと敦君の方に目を向ければ、なにやら
独歩さんに遊ばれていた。


彼の顔から不安は消えたようだ。



(よかった。)




少年の顔を見てふっと笑い、私は再び
割れた窓硝子を片付け始めた。














(夕姫さん、僕やりますよ。)
(ん?大丈夫だよ?それよりも、)
(?)
(良かったね。)
(はい!)












next、なかがき
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ