文豪の涙

□日常を壊す影
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『っあった!』



走り始めて数十分後、放送室を見つけて
中へ入るとそこには数人武装したテロリストが
いた。



私に気づいたそいつらはすぐに銃を向けて来た。




『そんななまくらが私に当たる訳ないでしょ。
おとなしく眠っててね!』



飛んでくる銃弾を除けて、急所に蹴りを
叩き込む。



と、案外すぐに伸びた。





テロリストを部屋の隅にまとめて置き、
マイクをオンにする。




『私は武装探偵社の者です!既に半数の
テロリストを確保しました!残りの者も
大人しく降伏しなさい!それが嫌ならば
私が実力行使で降伏させます!それが嫌ならば
私だけを狙って来い!』


ついでに最後に一言。



『自分よりも弱い人にしか手を出せない
なんていうのは雑魚ですからすぐに片付けられますから♪』



なーんて挑発してやる。



(うまく乗ってくれるかなー。)



わざと挑発すれば注意がこっちに全部向くかな
とか思ったんだけど......



甘い考えだったかなぁとか思って外に出ようと
扉を開けたとき、



ジャキッ、という嫌な音がした。




『......うわ、単純だったね。』



目の前にはテロリストが何十人といた。

その手には〜、黒光りする自動式拳銃や
回転式拳銃。



『影舞(かげまい)!』



自分の足元にある影からムチのようなしなやかに
蠢く何か達がが拳銃と弾丸を弾き飛ばし、
更には男たちに襲いかかる。


『一の舞、五月雨!』


止むことのない打撃を繰り出し、そこにいた
男たち全てを倒す。




(あらかた片付いた......?)






確認をしようと思い、一歩踏み出したが、





ガクンッ




『っあぅ......』




膝は体重を支えきれず、そのまま床に落ちる。





そして、そのあとに襲ってくるのは尋常じゃ
ないほどの疲労感と怠さ。




能力の使いすぎかなぁ......ソ






特に黒ノ色の〈影舞 一の舞 五月雨〉は
広範囲への攻撃。


その為、集中力と体力が必要不可欠となる。

そして、先ほどの大量の式神召喚。

そのつけもあるんだろう。




『体力、つけないとなぁ......』




集中力ならあるんだけど、いかんせん体力がね......



震える足に苦笑しながら立ち上がると、
ふと気配を感じた。




顔を上げると、そこにいたのは




『広津さん......』



そこにいたのはポートマフィアの黒蜥蜴
百人長の広津柳浪さんだった。



後ろには銀ちゃんや立原君、そして部下が。




「ふむ、やはりテロリストでは歯も立たないか。」



『......どういうことですかね広津さん?』





今の広津さんの口ぶりからすると、まるで
彼らが態とここにテロリストを送り込んだ
というようだ。





「夕姫もわかってんだろ?俺らの仕業だって。」



立原君は当たり前と言ったように笑ってる。




『......やっぱり?というか、この状況好ましくないなぁ。』




体力はほぼ限界に近いし、異能は多分あと
一回くらいしか使えない。





これぞまさに死亡フラグってやつだね!





『......広津さん、情報を売るのでどうか
逃がしてください。』



「それはまた後日にしよう。今日は別件だ。」


うわ、交渉失敗した。

『もう既になんとなーく、なんとなーく
予想はついてるけど......その別件とは?』



広津さんは紳士的な笑みを浮かべて口を開いた。



「勿論、君の捕獲だ。」




その単語が発し終わった瞬間、私は床を
蹴った。



私がいたところには、銀ちゃんが。



そしてさらに不運は重なる。




着地した瞬間、立原君が銃を向けて撃ってくる。



『っ色憑き、水ノ色!』



直ぐに氷の壁を作ってガードする。

突き刺さっているのは、麻酔弾らしき
物。


当たったら、完璧に動きを封じられる。

(ここからどうやって逃げられる!?)


キョロキョロと辺りを見渡し脱出口を探そうと
しても映るのはマフィア、マフィア。




「余所見をしている暇があるのかね?」




『っ!』



バックステップを踏み、広津さんの異能によって
砕かれ飛び散る氷の礫をよける。



『三人とも本気だ......』


広津さんの様子を見ると、昔を思い出す。


よく異能の訓練でこてんぱんにやられたな......
じゃなくて!




(今は逃げることが大事!)



さっき確認したが、非常階段の付近には
人がいなかった。


麻酔弾と広津さんの攻撃を除け、銀から逃げて
私は非常階段のドアを開いた。



(下にはポートマフィアがいるかもしれない......
流石に屋上にはいないでしょう。)




そう鷹をくくり、階段を駆け上る。



















それが、敵の罠だとは知らずに。
















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