短い涙

□予防接種
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*夕姫side*


『ん......』



「おはよう夕姫。よく寝ていたね。」




あれから私は寝てしまったらしく、もう日付が
変わっていた。



『昨日寝ちゃったの昼くらいだから......
長時間寝てたんだね。』




最近、異能の特訓を広津さんにやってもらって
いたからだろうか。



「夕姫、起きたのなら行こうか。」



にっこりと笑った治さんにそう言われたが、
昨日の一件があるのでベットから動かない。




「予防接種はもうやらないよ。朝ご飯に
行こう。織田作も一緒だよ。」


『......絶対?』



「うん。ほら、織田作がお腹すいて
食堂のもの全部食べちゃうと困るから
行くよ。」



治さんに手を引かれて強制的に移動。




と、本当に朝食だったらしく織田作さんが
私たちの席を取っていてくれた。


「夕姫、おはよう。」


『おはよう織田作さん。』



「昨日は済まなかったな。今度詫びに
また菓子を買いに行こう。」



『!行く!』



「ちょっと織田作、私の夕姫取らないで。
ほら、夕姫も朝食とってきなよ。」



『うん。』




「夕姫、ならば私(わっち)と選びに行こうぞ。」



『紅葉さん!お早うございます。』


「おはよう。夕姫は挨拶の出来る良い子
じゃな。はぐれぬよう手をつなごうか。」




紅葉さんに手を引かれて、私はご飯を取りに行った。








*太宰side*


(良かった、気づかれてないね。)



姐さんと朝食をとりに行った夕姫を見て
一安心する。




実は昨日の夜、夕姫が眠っている間に
こっそりと予防接種をしたのだ。




ここ数日、広津さんと異能をコントロール
するための特訓をしているのは知っていたし、
織田作加わっていたみたいだから、余程
体力を使ったんだろう。




全くというほど起きなかった。





「太宰、お前も大変だな。夕姫なら引き取る
ぞ。」



目の前でカレーを食べる織田作がそういう。



「そんなことはないよ、あの子はいい子だから。
それに、あんなに嫌がるものはアレしか
ないしね。」



私も味噌汁をすすり、織田作には渡さないと
いう事を遠まわしに伝える。



『治さん、織田作さんも何の話してるの?』



お粥と林檎を貰ってきた夕姫が首を傾げて
私の隣に座った。



「夕姫は元気な方がいいねって話。」












予防接種




(あれ、この肩の絆創膏何?)
(それは怪我じゃない?)
(あー、そうなのかな。)
(そうだよ、気をつけてね。)





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