短い涙

□猫の日〈8/8〉
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〈文豪ストレイドッグス BLD〉


『ふわぁあ〜、よく寝た。てか、疲れた。』


社員寮の自室で目を覚まし、ぐーっと伸びをする。



昨日の夜に入ってた仕事がなかなか終わらず
休めたのは日付が変わった時。


しかも、仕事内容が異能者討伐でなんか
わからないが、変な異能をかけられた……気がする。



でも、昨日は何も変化がなくてそのまま
倒してお巡りさんにお願いした。



『シャワーでも浴びるか。』



出社時間まではまだある、それまでに
少しさっぱりしよう。



支度をしてシャワーを浴びに浴室へ。



その時、たまたま通りかかった鏡に変なものが
映っていた。



『……?』




確認しようと鏡に近づくと、有り得ないものが
写っていた。





『な、なんじゃこりゃああああああ!?』





思わず叫び、隣部屋の敦を起こしたのは
本当に悪いと思ってる。





* *



「また……見事な猫耳だな。」



『国木田さん冷静な分析ありがとう……
でも今はその現実を直視したくない。』



あの後、敦と騒いでたら出社していた
国木田さんに怒られ、事情を説明したら
探偵事務所に連行された。



そして今、みんなの注目を浴びています。

公開処刑か畜生。





「凄いね、本物みたいだ。」



『多分昨日の異能者にやられたんです。
それ以外有り得ない。てかやめて太宰さん
触ろうとしないでこっち来んな!!』





手をわきわきさせながら近づいてくる太宰さんから
逃げる。



だが、俺は忘れていた。



太宰さんよりも好奇心旺盛な奴がいることを。





「スキありっ!」




突如伸びてきた乱歩さんの手に反応しきれず
耳を触られた。




『ひっ、さ、触らないでください!!』



自分でも出した事のないような声が出た。




一気に静まり返る社内。


そして一気に押し寄せる羞恥心。




『〜!見回り行ってきます!』



耐えきれなくなった俺は(ナオミに丈を
長くしてもらった)パーカーを着て逃げるように
社内から飛び出した。



* *




『はぁっ、はぁっ……もうやだ恥ずかしい。
くっそあの異能者悪夢でも見せてやろうか……』



いや、見せに行こう。
よし、警察署に行こう、そうしよう。



ついでに箕浦さんと話そう。




近道をするため、暗い路地裏に入る。




と、一瞬嫌な予感がして振り返るととても
見覚えのある黒外套に身を包んだ男がいた。



『り、龍之介……』



いつもの俺なら「お前相変わらず細い!
ちゃんと食え!」とかそんな感じで話すけど
今は無理だ。



だって、猫耳生えてるんだぞ?
引かれるに決まってんだろ!



冷たい目で見られるとか俺死ねる。




「何故このような所にいる。」




『いや、まぁ……色々あったんだよ。うん、
って事で今日は見逃せっ!』



龍之介に背を向け走り出したが、腹になにかが腹に巻き付き、引っ張られた。



『羅生門とか狡い!!』


「それを言ったらお前の異能も何でも有りだろう。」


『俺はいいの!あ、待てフード取るな莫迦!』



羅生門で引き寄せられ、フード取られそう。

必死でも俺もフードを抑えるが羅生門で
両手を拘束された。


『あ!』


「………何だこれは。」



フードのしたから現れたのは俺の髪の色と
同じ色の猫耳。


『……昨日の異能者にやられたんだよ。
好きでこんな格好してんじゃねぇっつーの。』



ふいっと目をそらすとぎこちなく頭をなで始めた龍之介。



あ、気持ちいい。




時折耳の後ろをかかれるのがまたいい。



『ん〜……気持ちい……』



眠くなりそう。既にうとうとしてるけど。



あー、ダメだ。ね、むい……




* *

〈芥川side〉


「……寝たのか。」


座ったまますやすやと眠りこけてしまった
蓮。



たまに猫耳が思い出したようにぴくぴく動く。



「……どうするか。」


このまま置いてく事も出来ないが、探偵社に
送り届けるのも嫌だ。


(持って帰るか。)



気持ちよさそうに眠る蓮を抱き上げポートマフィアに
持ち帰る。
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