番外編

□初デート
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〜初デート〜



ある日の朝、もう1人の遊戯は鏡の前で自分の姿をジッと見つめていた。
腕にシルバーを巻き、身だしなみをチェックする。
すると、もう1人の遊戯の隣に表人格である遊戯が笑みを浮かべながら現れた。


「気合入ってるね、もう1人の僕」

「あ、相棒!」

「なんたって、今日はまどかさんと初デートだもね!」


遊戯の言葉にもう1人の遊戯は頬を赤く染める。


「僕の事は気にしなくていいから、今日はまどかさんと楽しんできてね!」

「相棒・・・サンキュ」


もう1人の遊戯がお礼を言うと、遊戯は姿を消した。


「さ、そろそろ行くか」

























「・・・へ、変じゃない・・・かな?」


もう1人の遊戯同様、まどかも鏡の前で睨めっこしていた。


(今日は遊戯と海馬ランドで初デートだもん・・・可愛くして行かなきゃ!)


いつもより気合いを入れてオシャレをするまどかだが、鏡に映る自分の姿がおかしくないか気になって仕方がない。


「あ、もうこんな時間!」


そこへ、遊戯がまどかを呼びに来る。


「まどか、準備出来たか?」

「う、うん!今、行くね!」


遊戯に呼ばれたまどかは慌てて部屋を出た。


「お待たせ!遊・・・!」

「!!」


遊戯とまどかはお互いの姿を見て固まってしまう。


(今日の遊戯・・・いつもよりカッコイイ、かも。私の気のせい?)

(今日のまどかは、いつもより一段と可愛く見える・・・)


ジッと見つめ合う2人に、階段の下から双六が声をかける。


「どうしたんじゃ?2人とも」

「な、何でもないぜ!」

「い、行ってきます!双六さん」


ビクリと身体を反応させた2人は顔を真っ赤にさせながら階段を降り、家から出て行く。
双六はそんな2人の後ろ姿を微笑ましそうに見つめていたのだった。


















そして、遊戯とまどかは海馬ランドへと辿り着いた。


「遊戯、見て!アレ、とっても楽しそうだよ!」

「ああ、そうだな」

「あの乗り物も面白そう〜!」


海馬ランドに着いて早々、楽しそうなまどかの姿に遊戯は顔を綻ばせる。


「遊戯は苦手な乗り物はないの?」

「特にないが・・・まどかは?」

「・・・私もない、かな」

「?」


歯切れの悪いまどかの言葉に、遊戯は首を傾げる。


「や、やっぱり、遊園地って言ったらジェットコースターだよね!行こ、遊戯!」

「あ、ああ・・・」


まどかは遊戯の手を引き、ジェットコースターの乗り場へと向かう。


「ブルーアイズのジェットコースターなんて、海馬くんらしいね」


乗る順番が回り、腰掛けたまどかは安全バーを下ろしながら、おかしそうに笑みを零す。
遊戯は軽く相槌をすると安全バーを下ろす。


その時、左隣に座っていたまどかの右手が遊戯の左手の上に重なった。


「まどか?」

「ちょっと怖いから・・・握っててもいい?」

「・・・っ!」


遠慮がちに呟いたまどかの言葉に遊戯は赤面し、プイッと顔を逸らす。
その代わりに、まどかの右手をギュッと握り返した。


(・・・ドキドキして、それどころじゃないぜ)


ジェットコースターが動き出してコースを1周するまでの間、遊戯が繋がれた手に気を取られ続けていたのは、遊戯だけの内緒の話・・・。
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