番外編
□初デート
1ページ/4ページ
〜初デート〜
ある日の朝、もう1人の遊戯は鏡の前で自分の姿をジッと見つめていた。
腕にシルバーを巻き、身だしなみをチェックする。
すると、もう1人の遊戯の隣に表人格である遊戯が笑みを浮かべながら現れた。
「気合入ってるね、もう1人の僕」
「あ、相棒!」
「なんたって、今日はまどかさんと初デートだもね!」
遊戯の言葉にもう1人の遊戯は頬を赤く染める。
「僕の事は気にしなくていいから、今日はまどかさんと楽しんできてね!」
「相棒・・・サンキュ」
もう1人の遊戯がお礼を言うと、遊戯は姿を消した。
「さ、そろそろ行くか」
「・・・へ、変じゃない・・・かな?」
もう1人の遊戯同様、まどかも鏡の前で睨めっこしていた。
(今日は遊戯と海馬ランドで初デートだもん・・・可愛くして行かなきゃ!)
いつもより気合いを入れてオシャレをするまどかだが、鏡に映る自分の姿がおかしくないか気になって仕方がない。
「あ、もうこんな時間!」
そこへ、遊戯がまどかを呼びに来る。
「まどか、準備出来たか?」
「う、うん!今、行くね!」
遊戯に呼ばれたまどかは慌てて部屋を出た。
「お待たせ!遊・・・!」
「!!」
遊戯とまどかはお互いの姿を見て固まってしまう。
(今日の遊戯・・・いつもよりカッコイイ、かも。私の気のせい?)
(今日のまどかは、いつもより一段と可愛く見える・・・)
ジッと見つめ合う2人に、階段の下から双六が声をかける。
「どうしたんじゃ?2人とも」
「な、何でもないぜ!」
「い、行ってきます!双六さん」
ビクリと身体を反応させた2人は顔を真っ赤にさせながら階段を降り、家から出て行く。
双六はそんな2人の後ろ姿を微笑ましそうに見つめていたのだった。
そして、遊戯とまどかは海馬ランドへと辿り着いた。
「遊戯、見て!アレ、とっても楽しそうだよ!」
「ああ、そうだな」
「あの乗り物も面白そう〜!」
海馬ランドに着いて早々、楽しそうなまどかの姿に遊戯は顔を綻ばせる。
「遊戯は苦手な乗り物はないの?」
「特にないが・・・まどかは?」
「・・・私もない、かな」
「?」
歯切れの悪いまどかの言葉に、遊戯は首を傾げる。
「や、やっぱり、遊園地って言ったらジェットコースターだよね!行こ、遊戯!」
「あ、ああ・・・」
まどかは遊戯の手を引き、ジェットコースターの乗り場へと向かう。
「ブルーアイズのジェットコースターなんて、海馬くんらしいね」
乗る順番が回り、腰掛けたまどかは安全バーを下ろしながら、おかしそうに笑みを零す。
遊戯は軽く相槌をすると安全バーを下ろす。
その時、左隣に座っていたまどかの右手が遊戯の左手の上に重なった。
「まどか?」
「ちょっと怖いから・・・握っててもいい?」
「・・・っ!」
遠慮がちに呟いたまどかの言葉に遊戯は赤面し、プイッと顔を逸らす。
その代わりに、まどかの右手をギュッと握り返した。
(・・・ドキドキして、それどころじゃないぜ)
ジェットコースターが動き出してコースを1周するまでの間、遊戯が繋がれた手に気を取られ続けていたのは、遊戯だけの内緒の話・・・。