遊戯王DM
□海馬兄弟
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「思ったより早く済んじゃった・・・」
それは、遊戯と思いが通じ合った数日後の事だった。
〜思わぬ訪問者〜
平日のある日、双六の用事で童実野町へと出ていたまどか。
「せっかくだし、晩ご飯の用意でも買って帰ろうかな」
“いつもお世話になっている双六さんに日頃の感謝を込めて”とまどかがそんな事を思いながら歩いていると、背後から突然名前を呼ばれた。
「まどか!やっと見つけたぜ!」
「えっ・・・モ、モクバくん?!」
モクバはいつものあのトランクを抱え、まどかに駆け寄って来る。
「今って海馬くんと一緒にアメリカに行ってるはずじゃ?」
「ちょっと日本に用があったんだ!兄様も今、会社にいるぜ」
「そうだったんだ・・・モクバくん、元気そうだね」
「へへへっ!世界海馬ランド計画も順調だからな!完成したら絶対来いよな?」
「うん!必ず行くよ!」
バトルシティが終わり、新たな夢へと向かって歩み出した海馬とモクバ。
2人の夢が叶うようにと、まどかはにこりと微笑んだ。
「それで、私に何か用なの?」
「あっ!そうだった!」
モクバは思い出したように声を漏らすと、まどかに向かってトランクを差し出した。
「これ、兄様からまどかにって!」
「へ?」
モクバはトランクを開けると、まどかにその中身を見せた。
中には、トランクいっぱいに並べられたデュエルモンスターズのカード。
「海馬くんが・・・私に?」
わけが分からないまどかは、目をぱちくりさせながら首を傾げる。
「兄様からまどかにお礼なんだってさ!」
「お礼・・・?何の?」
さらにわけが分からなくなるまどかに対し、モクバは頬をぽりぽりとかく。
「乃亜の時とかアルカトラズでの事とか・・・とにかく、まどかにこれを渡せって兄様に頼まれたんだ!受け取れ!」
「えっ・・・あっ!」
無理やりトランクを渡すモクバを見たまどかは、“やっぱり海馬くんと兄弟だ”と心の中で思った。
強引にまどかに渡し、背を向けるモクバ。
「じゃあ、渡したからな!俺は行くぜ!」
「ま、待ってモクバくん!私、こんなの受け取れないよ!!」
「な、何でだよ!兄様がせっかく・・・!」
「とにかく受け取れないから返すよ」
「でも・・・」
「あ・・・」
目の前で困ったように瞳を伏せるモクバを見て、まどかは悟った。
(私が受け取らなかったら、モクバくんが海馬くんに責められちゃうよね)
海馬のあの性格からして、間違いなくモクバにお咎めがいくと思ったまどかは、「あっ!」と声を出す。