遊戯王DM

□君には
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「まどかさん、どこにいるんだろうね」

「ああ・・・」

「じいちゃんの話しによると、この辺りのはずなんだけど・・・」


遊戯ともう1人の遊戯は、双六の用事で出掛けたまどかを捜す為、童実野町を歩いていた。



〜分かっていても〜



今朝、遊戯が学校に行った後、まどかは双六の用事で家を出たらしいのだが、夕方になっても未だにまどかが家に帰って来ないと双六に聞いた遊戯。


まどかの身に何かあったのではないかと思った遊戯は、双六がまどかに向かわせた場所を聞き、もう1人の遊戯と共に捜しに来たのだが、まどかの姿はどこにも見当たらない。


「何もないといいんだが・・・」

「もう1人の僕・・・」


まどかの事を心配するもう1人の遊戯に、遊戯もそっと瞳を伏せる。


「相棒、とにかくまどかを捜そう」

「うん、そうだ・・・」


言葉を途中で止めた遊戯に、もう1人の遊戯は首を傾げる。


「どうしたんだ、相棒?」

「あそこにいるの、まどかさんじゃ・・・」


遊戯の指差す先に視線を向けると、確かにそこにはまどかの姿があった。
もう1人の遊戯もホッと息を吐くが、次の瞬間、瞳を大きく見開いた。


「!!」


少し離れた場所で、まどかと見知らぬ男性が抱き合っているのだ。
思わず食い入るように見つめてしまい、もう1人の遊戯は生唾を飲む。


そして、離れたかと思うと男性に向かってまどかはニコリと笑みを浮かべる。


その様子を見ていたもう1人の遊戯は、グッと拳を握り締め眉間にしわを寄せる。


「お、落ち着いて、もう1人の僕!これにはきっと何か理由が・・・」

「すまない、相棒」


もう1人の遊戯は遊戯の話しも聞かず人格交代し、まどかの方へと向かって歩いて行く。


「・・・まどか」

「ーーー・・・遊戯!」

「何をしているんだ?」


いつもと違う低い声にまどかがビクッと反応すると、遊戯はまどかの手を取り強引に歩き出してしまう。


「ちょっ・・・待っ!」

「・・・」


遊戯に向かって制止をかけるまどかだが、遊戯は構わず歩き続ける。


「は、離して!遊戯!」

「っ!」


まどかは遊戯の手を振り払い、ムッとした表情で遊戯を見つめる。


「いきなり何するの?!」


先ほどの男性には笑顔を見せていたのに対して、自分には怒りを露わにするまどかを見た遊戯は、胸がチクリと痛むのを感じた。


「まどかこそ、何していたんだ?」

「私は双六さんの用事で・・・」

「・・・俺には、男と抱き合っていたように見えた」

「えっ?」

「正直に言ってくれて構わない・・・本当はじいさんの用事じゃなく、私用だったんじゃないのか?」

「ちょっ、遊戯・・・」

「俺がいない間にまどかは・・・!」


遊戯がハッとして言葉を止めた瞬間、遊戯の右頬に鈍い痛みが走った。


「・・・っ」


反射的に右頬に手を添えた遊戯は、目の前にいるまどかの表情を見て言葉を失った。


ポロポロと涙を流しながら、まどかは遊戯を見つめていた。


「・・・遊戯の・・・バカ!」

「まどか!」


まどかは遊戯に背を向け、逃げるようにその場に立ち去ってしまった。
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