名探偵コナン
□君の隣りで
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「七瀬って好きな奴いる?」
放課後、教室に残って日誌を書いていたまどかの手がピタリと止まった。
顔を上げれば、前の席に座ってこちらを伺う青い瞳の彼。
「・・・なに?急に」
平然を装いながら横髪を耳にかけ、まどかは再び手を動かした。
「いや、別に・・・」
そう言って、こちらに向けていた体を横へと向け窓の外へと視線を逃した。
「そういう降谷くんは?」
視線を日誌に向けたまま、手も止めずに問いかける。
しかし、一向に返事はなく、まどかはそっと顔を上げた。
「・・・俺は」
彼は褐色の肌を微かに赤く染めて、まどかを見つめていた。
途端に何だか胸がキュッとなった。
息苦しくて、この場をすぐにでも離れたくなった。
「書けた、から・・・先生に渡してくる」
そう言うのがやっとで、なんとか席を立つ。
「待っ・・・!」
咄嗟に手を伸ばされ、思わず身構える。
「##NAME1#、終わったー?」
突然聞こえた##NAME1#を呼ぶ声に反応してか、彼の手が止まった。
「友だちを待たせてるから・・・またね、降谷くん」
彼を残して、##NAME1#は教室から出て行く。
待っていてくれた友人と共に職員室に寄り、校舎を出た。
「ねぇ!さっき、降谷となに話してたの?」
「何も・・・日誌のことぐらい」
「え、まさか言ってないの?##NAME1#が転校する事!」
友人の言葉にコクリと頷いてみせる。
「担任しか知らないよ。莉子も誰にも言わないでくれてありがとう」
「そりゃあ、##NAME1#が言わないでって言ったから・・・でも、私にだけ言ってくれたのは嬉しかった」
莉子の涙声混じりの言葉に、釣られそうになるのをグッと堪えて空を見上げる。
「大丈夫・・・一生の別れってわけじゃないから。また、きっと・・・」
逢えると信じている・・・ーーー