番外編

□彼女の一面
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それはある日の城之内の一言からはじまった。



〜誰も知らない彼女の一面〜




「そういえば遊戯、まどかって普段何してんだ?」

「まどかさん?」


帰り支度をしていた遊戯の元に城之内が寄って来たかと思えば、突然の一言。


「多分、じいちゃんの店の手伝いじゃないかなぁ?」


そこへ、杏子と本田も近付き声をかける。


「多分って・・・知らないの?」

「うん・・・僕を見送ってくれた後の事は知らないんだ」

「まどかちゃんは学校に行ってないんだろ?でも、勿体ねぇなぁ・・・まどかちゃんの制服姿、絶対可愛いのに」


思わずまどかの制服姿を想像する本田の腹に、杏子は肘打ちする。


「ぐへっ!」

「何、想像してんのよ!」

「いいじゃねぇかよ!別に」

「よくないわよ!」


言い合う杏子と本田の横で、城之内が「あっ」と声を漏らす。


「遊戯!今日よ、まどかが何しているか見に行ってみねぇか?」

「えっ・・・えぇ!?」

「今日はこれで学校も終わりだし、これから遊戯の家に行ってよぉ!」

「で、でも・・・」

「俺も行くぜ!」

「本田くんまで!」

「遊戯だって気になるだろ?」


顔を近付ける城之内に遊戯は視線を逸らす。


「そ、それは・・・確かにまどかさんが何をしてるのかは気になるけど・・・」

「よっしゃあ!決まりだぜ!」

「ちょっ、ちょっと城之内くん!」


こうして遊戯たちは、普段のまどかの様子を知ろうと企てるのだった。



















「えっ・・・まどかさんが出掛けた?」


お昼で学校を終えた遊戯たちは、その足で遊戯の祖父・双六が経営しているゲーム屋へと立ち寄った。


しかし、そこにまどかの姿はなく、双六からはまどかは出掛けたと知らされる遊戯たち。


「じいさん!まどかがどこに行ったか知らねーか?」

「ん?それを聞いてお前さんたちはどうするんじゃ?」

「俺たち、普段まどかが何をしているか知らねーからよ・・・ちょっと気になって」

「ほぉ・・・」

「でも困ったわね・・・まどかちゃんがどこにいるか分からないんじゃ・・・」

「もうやめよ?城之内くん」


遊戯が城之内に制止をかけようとした時、双六がゆっくりと口を開いた。


「まどかちゃんがどこにいるかは知っとるよ」

「ほ、本当かよ、じいさん!」

「でも、これ言っていいのかのぉ」

「じいちゃん?」


双六の意味深な言葉を聞いた遊戯たちは双六の周りを囲む。


「どういう事だよ、じいさん?」

「まどかちゃん、粧し込んで出掛けたんじゃ・・・あれはデートじゃないかのぉ」

「「デデデデデデデ、デート?!」」


驚いた城之内と本田の声が響き渡り、遊戯と杏子も目をぱちくりさせる。


「でも、まどかさんは・・・」

「そうよ!まどかちゃんは遊戯と・・・」

「「あっ・・・」」


ハッとした城之内と本田も思わず遊戯の顔を見つめる。
すると、千年パズルが光りもう1人の遊戯が姿を現した。


もう1人の遊戯が姿を現わすと、城之内が気まずそうに声をかける。


「ゆ、遊戯・・・今日まどかと出掛ける予定だったのか?」

「いや・・・」

「じゃあ尚更、まどかちゃんが誰と会うのか確かめなきゃな!」

「本田、まだまどかちゃんが誰かと会うかなんて分からないじゃない」

「何言ってんだよ、杏子!粧し込むって事は誰かと会うって事に決まってんだろ!」


本田は遊戯の首に腕を回すと、ニヤリと笑ってみせる。


「遊戯だって気になるよなぁ?」

「お、俺は・・・」


確かに、気にならないと言えば嘘になる。
しかし、まどかの事を信じたいという思いが遊戯の胸に残る。


「ちなみにまどかちゃんは、童実野公園に行ったぞ?」

「童実野公園だな!よし、行こうぜ!」

「行くぞ、遊戯!」

「ほ、本田くん!」

「待ってよー!」


遊戯たちが店を出た後、双六は口元に笑みを浮かべていた。


それは何かを企んでいるような・・・
悪戯っ子のような笑みだった。
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