流星群でshort…ver.紫緒璃→モモとキド
「団長さん、団長さん、今日は流れ星がいっちばんよく見える日なんですよ!」
キドがひとり、お茶を飲みながら本を読んでいる静かな空間に、今日も元気なモモがやってきた。
今日がピークだという流星群の話をしに来たらしい。
キドはモモの姿を確認した後に読んでいた本に栞を挟み、モモの分のお茶を淹れ始めていた。
「そうなのか」
「はい!団長さんは流れ星に何をお願いしますか?」
「お願い?そう言われてもな…。キサラギは何を願うんだ?」
少し悩み、最初から答える気もなかったのではないかという風にも見える返しをするキド。
キドに聞かれたモモはこの話を始めた時から考えていたことがあったのだろう。
すぐに聞かれたことに答え始めた。
「私ですか?もちろん、皆さんと楽しく毎日過ごせることです!」
モモの元気のいいその答えとともに、元気のいいお腹の音が盛大にその場に響いた。
モモはアハハ、と乾いた笑いとともに、威勢良くすみません!と一言口にした。
その様子をきょとんとした様とも言えなくもないような表情で見ていたキドは一度小さく笑ったあとに、続けた。
「…ふ、じゃあ私はキサラギのお腹が満たされることでも願っておこうかな」
「すいません…」
さらに小さくなってもう一度謝ったモモにキドの笑いは色濃くなっていく。
声には出さないが、体が小刻みに震え続けているのだ。
「団長さん、そんな堪えて笑わないでくださいよ…。なんだかさらに恥ずかしくなってきちゃいますから」
「あ、いや…悪い。そんな気はないんだが…」
そう答えながらもキドの笑いは消えることはないらしい。
「もー団長さん?」
頬を膨らませてそう言ったモモの顔も相当に笑うのを堪えている顔である。
そして数秒の後、ついに堪えきれなくなりキドとふたり、顔を見合わせて大笑いを始めた。
「はーおっかしい。あ、またお腹鳴った」
「キサラギ、これを持ってくれ」
「なんですか?…あ!クッキー」
「ちょうどお茶も入った。せっかくだ。流れ星を見に出よう」
「…はい!」
「なんだかふたりだけの秘密ってドキドキしますね!」
「…そうだな」
満天の星空の下、ふたりの穏やかな夜のティータイムは静かに過ぎていった。
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