私、演劇部で『四乃森 蒼紫』やってます。

□第一話
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「あぁ〜・・・・・だりぃ。」


「帰り道一番の声がそれかいっ。」


「ったり前だ。大体、部長が興奮しなければこうはなんなかったよ。」



第一話  『ふ・ざ・け・る・な』



夕日が月乃と弥生(演劇部部長)の影を、コンクリートの道に伸ばす。


「・・・・にしても、頑張ってね?!蒼紫の二刀流小太刀!難しいけど!」


「そんな笑顔で追い打ち掛けるな。でも、頑張るよ。なんだっけ・・・・」



月乃が顎に手を当てて、上を向く。

なにか思いついたのか、弥生が、


「・・・・『回天剣舞・六連』?蒼紫の技の。」


「あ!それだわ。一応部長から、小太刀を二本借りたけど・・・。
 『回天剣舞・六連』よりも、その前の段階の『回天剣舞』を覚えてからの方が良くねェ?」



「あー、そうかも。」


「な?難易度的にな。」

月乃が弥生(しかも部長)に対する口調はいつもこうだ。


前に気になった一年生が、


『あの・・・先輩は部長に対して、言葉遣いは気にしない方ですか?』


『ん?あぁ、気にしないって言うか・・・アイツ(部長)はMだからな。
 常にこう言う言葉遣いで攻められんのが好きなんだよ。』


『な・・・・成程・・・。M、ですか。』

『ドMかもな。もしかしたら、もしかすると。』


だ、そうだ。



二人の家は偶然にも隣同士で家路も部活も同じが為に常に一緒みたいなものだ。



「あ、ねえ亮(りょう)君とはどうしたの?」


「あ?亮の野郎か。あいつは無理だな。ナルシストのクソ野郎だろ。あんな男に惚れる女が・・・
 バッッッッカみてぇ。」←女子ですからね?


「え?!亮君、顔はカッコいいジャン?!
 アプローチもかけてるジャン?!月乃に!!」


「だーっ!無理だっつてんだろっ!」


「じゃぁ、どんなのがタイプなの?!」


「私と演劇に対する理解力と、武術に長けていて、静かな奴。ま、必要以上の事は言わない野郎だ。」


「え?!マジで?!はーっ、そっかぁ〜!」

「なにニヤニヤしてんだ気持ち悪ぃ。」



帰り道の曲がり角を曲がるとき、


『え?!え?!それって・・・静かな奴って・・・無口な人?!じゃ、じゃぁ・・・・


 蒼紫じゃぁぁぁぁあああぁぁぁぁん!!!!!』


弥生の心の中は暴走していた。


曲がり角を曲がった。

ここまでは日常の他愛のない一コマ。

異常はない。 うん。

「・・・・は?!」

「え?!キャァァァッ?!」


珍しく弥生が女の悲鳴を上げた。←いつもは斎藤 一の名前を連呼している。
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