鳥籠のなかで

□1、そうだ合宿に行こう
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嵐の前の静けさ。誰が言ったか知らないけど、本当に言い得て妙だと思う。始まりは、俺たちの場合静かかどうかは置いといて、なんでもない平穏からなんだ。

「おいツナ。いつまで寝てやがる!」
「イテッ!」
沢田綱吉は心安まるはずの土曜日の朝、理不尽な家庭教師様によってベットから蹴り落とされた。

「って。何すんだよ、リボーン」
「今何時だと思ってんだ?」
「えっ、時間...」
さては盛大に寝過ごしたのだろうかと思い時計に目を遣る。
「まだ6時にもなってないんですけどー!?」
「うるせーぞ!早朝から大声出してんじゃねぇ!」
そしてまた蹴っ飛ばされる、ひどい理不尽である。

「来週末からの冬休み、ボンゴレ合宿を開催するぞ」
「何だよそれ(ーー;)」
「将来共にボンゴレを背負って立つお前らは、お互いのことをもっと知っておく必要がある」
「だから、おれはボンゴレを継ぐ気は」
「そこで俺がわざわざ、施設を借りて合宿の準備をしてやったんだ、ありがたく思えよ」
(無視かよ)
と思うものの口に出せばどうなるかは目に見えているので黙っていることを学習したツナだった。

「すでに何人かは俺が声をかけといた、京子やハルも来るぞ」
「えっ!京子ちゃんも!?」
「あぁ。特別にな。お前が声をかけると犯罪臭がするからな」
「どうしてだよ!?」
「もう忘れたのか?お前は京子にパンツ一丁でコクハ
「言うなー!ていうかそれお前のせいだろー!!」

ボンゴレ合宿など全く行く気は無かったが、笹川京子が来るとなれば話は別と、現金にも浮かれて参加を承諾したことを今ツナは死ぬ気で後悔している。

10分ほど前
「あと残っているメンバーのリストだ。お前が誘ってこい」
「わかった!」
そう言って浮かれて飛び出して行く自分の後姿を、リボーンがほくそ笑んで見送ったことを、今なら容易に想像できる。

(何が「わかった!」だよ!?10分前のオレ!!)
「どうすんだよ、これ」
メンバーリスト
獄寺隼人、山本武、笹川了平、ランボ、イーピン、笹川京子、三浦ハル...
ここまでは既にチェックが着いている。特に前二人は快く承諾してくれたことだろう。
自分が誘わなくてはならないのはここから。
ディーノ
(ディーノさんなら事情を話せばわかってくれそう)
かつて彼もツナと同じ境遇に身を置いていた。同じ苦労(リボーン)を味わった彼なら嫌とは言わないだろう

クローム
(京子ちゃん達が来るって伝えればたぶん大丈夫だよな)

問題はここから
六道骸
(無理だろー!?万が一、いや億に一でも可能性があるとしたらクロームに協力してもらって頼み込むしか)
この際女の子の力を借りる情けなさなんか気にしていられない。

そして...
雲雀恭弥
「俺に死ねってことー!?」
彼が叫ぶのも無理からぬことだろう。
並盛中学、並盛町、そしてマフィア界で最大の規模を誇るボンゴレファミリーに置いても、“最強”の冠が雲雀恭弥から外れることはない。
そして彼は戦闘狂であり、群れることを何より嫌う孤高の存在で。
またボンゴレに属していることも認めてない、というかそもそもまともに理解していない(話を聞いていないとも言う)
つまり、この合宿から最も遠い位置にいるのである。

(今日で俺の寿命つきるかも)
もはや何かを悟ったような顔になり、トボトボ歩く綱吉だった。

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