鳥籠のなかで

□そうだ合宿に行こうA
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そもそも何でこんな早朝から、と今更ながらの疑問に立ち返る。
(土曜日の朝っぱらからこんな早く起きてる人いないってのに、リボーンのやつ)

もう少し寝ていたかったとふてくされながら、歩いていたが聞き慣れた大声によって思考は中断された。
「おぉ!沢田ではないか!?」
「お兄さん!」
ロードワーク中の笹川了平と出くわした。
「こんな早朝からランニングとは、さては我がボクシング部に入る気になったのだな!」
「違います!」
話がややこしくなる前にきっぱり否定しておく。最初の頃こそ綱吉も罪悪感(別名:彼の妹京子への体面)を感じていたが、さすがに薄れてきていた。

「お兄さんはいつもここら辺を走ってるんですか?」
とりあえずの話題転換。
「いや、いつもは通らないのだが何やら悲痛な叫び声が聞こえたのでな。何かあったのかと」
(聞かれてたー!!)
「沢田は何か見とらんのか?」
(よかった、俺だとばれてない)
「はい、何も。俺も気になって来たんですけど」
「む!?家からか?」
(しまった、余計なこと言っちゃった。どう考えたって家からここまでそんな一瞬で来れるわけないのに!!.)
「あっ、いえ、その」
「さすが俺が認めた漢だ!」
ワッハッハと何故か誇らし気に笑う了平にホッと息をつく。筋金入りの脳筋の彼に救われたのだった。

ことはついでだとばかりに綱吉は了平に今朝の経緯を話した。
「おお、京子も楽しみにしておったぞ」
(やった、ホントに京子ちゃん来るんだ!)
「俺も極限燃えているところだ!」
「えっ?」
「なんでも強者揃いでやる合宿というではないか、極限に血が騒ぐな‼︎」
...いや、間違いではないのだが。
何だか先行きが不安になって来た綱吉だった。

「えっとそれで、クロームも誘わなくちゃいけないんですけど。京子ちゃん達から声かけてもらえないかなって」
いかに合宿とはいえ、女の子を泊まりに誘う勇気はダメツナは持ち合わせていないのだった。
「京子なら、今日友達とお泊まり会の買い物に行くと言っておったぞ。たぶん髑髏も一緒だろう」
(お泊まり会?まさか...)
「並盛デパートに行くといっておったから、そこに行けば会えるだろ。では、俺はロードワークに戻る!」
綱吉としては了平から京子に伝えて欲しかったのである。しかし彼には伝わらなかったらしく、勝手に満足して走り去って行ってしまった。

同じスポーツマンである山本はあんなに爽やかなのに、どうしてこの人はこうも暑苦しいのだろうと不思議に思う綱吉だった。
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