鳥籠のなかで

□ゲームスタートB
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*ここからは骸視点です。

再び端末が振動したことで、質問タイムは中断されました。
全員がテーブルの周りに集まったのを見計らったようなタイミングで、画面に荒い映像が送られてきました。
「今度はなんだよ」
映像が徐々に判別可能になりますが、正直理解が追いつきません。
「い…す…?」
誰かの間の抜けた声が響く。あぁ、確かに椅子ですね。拘束用ベルトのいくつもついた
「…電気椅子」
…貴方は感情を乱されるということを知らないのでしょうか。雲雀恭弥の声は透明でした。感情がないならばまだ救いがあるものを。
いせませんね、明らかに僕の思考はこの映像から逃避している。

「なんだろ、これ?」
知らぬが仏というやつですかね。徐々に映像が椅子に近づいて行く。わかっている跳ね馬ディーノの顔から可哀想なほど血の気が失せて、震える手で端末を掴んでいる。

やはり、と言うべきでしょうか
「リボーン…」
恐怖を多分に含んだ、縋るものを求めるような声。
アルコバレーノのベルトで身体を椅子にくくりつけられた姿が映しだされました。身体は赤ん坊のため正しくベルトを縛れていない、ご苦労なことです。

『ん?どういうことだ、これは』
本当に見計らったかのようなタイミングでアルコバレーノが目を覚ます。そして彼の顔からも血の気が引いた。
「おい!ダレだ!?はなせ!!!」
ここまで取り乱した彼の姿は初めてですね。世界一の殺し屋といえど、死ぬのは怖いようです。自分が今まで何人殺してきたかなんて省みもしないんですから勝手な話ですね。それとも意味もわからず、なんの意義もなく死ぬことに耐えられないのでしょうか。それだっておなじことですが。

ようやく状況を理解したのか、いや恐怖が伝染したのでしょう。
「おいリボーン!返事しろ、リボーン!!」
「リボーンさん!!」
「小僧!」
画面に向かって意味もなく呼びかけている。アルコバレーノも誰もいない室内で喚き続けている。滑稽ですね。

「静かにして」
はぁ、また貴方ですか。今度は何をする気なんですかね。
少しの間沈黙が降りましたが、元通りになるまで時間はそうかかりません。
雲雀恭弥は久しぶりに椅子から腰を上げるとテーブルからはなれて歩き出しました。
左奥の扉の前で立ち止まると、扉に綺麗な蹴りを入れた。すごい音がしてまた静まり返る。
おや?今度は画面の中まで。少し遅れて画面から先ほどの音が響いてくる。
『なんだ?誰かいるのか?』
アルコバレーノが反応を示す。どうやら希望が見えたようですね。彼等には。
雲雀恭弥の前の扉に群がって、必死に扉を叩いている。
「リボーン!」
何度も繰り返し。
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