無双

□Wチェンジ
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夜が明け、朝日が差し込み、小鳥がチュンチュンとさえずる。


窓から差し込む陽の光に、甘寧は少し眩しそうに眼を擦りながら寝台から身体を起こした。




「ふわぁー。朝か…って、え??」



自分の発した声に思わず驚いてしまう。
その声は、普通の男より少し高めの…大好きな陸遜の声にそっくりだったのだ。



「何で声が…?」



視線を下に落とせば、目に映るのはいつもより白くて細い華奢な身体。



急いで鏡の前に行き、鏡を覗き込む。
甘寧は映し出された自分の姿に愕然とした。




「…伯言…。」



そう。鏡に映っていた姿は、陸遜そのものだったのだ。




「…んだコレ?何がどうなってやがるんだよ…。」



鏡に映っている陸遜の姿はいつも通り天使のように可愛らしい。
しかし発している言葉は甘寧の荒い言葉使いなわけで。



「…違和感ありすぎんだろ…。」


苦笑いを浮かべ、小さく溜め息を洩らしながら、確認するかのように、もう一度鏡に顔を覗かせてみる。


白い肌、大きな瞳、綺麗に整った顔立ち、すべてが愛おしくて思わず微笑んでしまう。


(こいつ‥何で女に生まれなかったんだろ。勿体ねぇなぁ。)


真直ぐに鏡を見つめながら、そんな失礼極まりない事を考えていると、室の扉が勢いよく開かれた。




「っぁああ!!
わ、私が居る!!?」


「!!お、俺!?」



互いに互いの身体を見つめ、驚愕の表情を浮かべる陸遜の姿をしている甘寧と、甘寧の姿をしている陸遜。
何故こうなってしまったのか、状況が飲み込めずに、陸遜の肩がフルフルと小刻みに震えた。



「も、もしかして興覇殿ですか…?」


声を震わせ、困惑の表情を浮かべる陸遜。
いつも通り陸遜の姿でこの表情をされたのならば、可愛くて抱き締めていただろう。
しかし今、目の前に映る陸遜は甘寧の姿な訳で。



(キ‥キモッ‥!!) 

自分の情けない姿に軽い目眩を覚える。
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