ONE PIECE

□隊長の特権
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サッチの無念を晴らすとか何とかでイゾウに手を引かれたエースは浴場にやってきていた。

脱衣場で身にまとっていた衣服を脱ぎ始めたイゾウをぼんやりと眺めていると、イゾウが眉を寄せている事に気がついた。

「おい」
「なに?」
「お前も服脱げよ」
「は?なんで??」
「なんでじゃねぇよ。脱がないと服が濡れんだろうが」
「俺は火だから濡れてもすぐに乾くけど‥」
「浴場に服着たまま入るなんざ言語道断だ」
「そっか」

確かにその通りかもしれない。
エースは小さく頷くとハーフパンツを下ろし、タオルを腰に巻いた。
その間に結い上げていた髪を下ろし終えたイゾウは、長い髪を緩く一本に束ねて浴場の中に入っていく。その後ろをエースも続いた。

風呂に入るにはまだ時間が少し早いだけあって風呂場の中は誰もおらずガラリとしていた。
シャワーが並ぶ一番端の椅子にイゾウは腰かけると、持っていた洗面用具をエースに手渡す。

「じゃあ宜しく頼む」
「おう」

自分よりも幾分か華奢に見える背中を石鹸で泡立てたタオルでゆるりと撫でる。
それを何度か繰り返して背中すべてが泡だらけになったところでエースは動きを止めた。

「洗い終わったぜ」
「おう、ありがとよ。なんならお前さんの背中も流してやろうか?」
「え?俺はいいよ」
「遠慮なんかするもんじゃねぇぞ。俺が流してやるって言ってるんだから黙って頷いてりゃいいんだよ」

なんとも俺様な発言にエースは「なんだそりゃ」と笑うと大人しく椅子に座って背中を向けた。
「分かりゃあいいんだ」と言う声と共に、背中を泡が包んでいく感覚がした。
しかしそれは布の感触ではなく、間違いなく手の平の感触だ。
滑るように背中を伝う指先の感触にエースの肌が栗毛立った。

「イゾウ!アンタ手で洗ってんだろ!?」
「ん?そうだがそれがなにか?」
「なにかじゃねぇよ!タオルで洗ってくれよ!」
「残念ながら俺はタオルじゃなくて手で洗う派だ」
「嘘つけ!!」

全力で噛みついてくるエースにイゾウは唇に弧を描くと、エースの太股に泡だらけの指先を滑らせた。
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