無双
□*彼岸花*
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蒸しかえるような暑さの中、あまりに長い期間の戦に兵の士気は衰え、武将達は苛立ちを隠せないでいた。
「あ゙ー!苛々すんぜ!!」
この戦に出ている中でもっとも気が短いであろう武将、甘寧が声を荒げた。
「ったく、焦れってぇな。さっさと攻め潰しちまえばいいのによ!」
「興覇!」
大声で文句を言う甘寧に呂蒙が静止の言葉をかける。
この戦の指揮官である陸遜が近くに居たからだ。
「‥いいんです、呂蒙殿。」
陸遜は川辺で血が付着してしまった上着を洗っていたが、その手を止め二人の方へ歩み寄った。
「甘寧殿、あと少し待てば必ず敵が動きます。申し訳ありませんが、もうしばらく我慢して下さいね」
そう言いながら苦笑する。
甘寧はその言葉を聞いているのかいないのか、陸遜のあらわになった白い肌を見ながら口の端たげを上げて微笑んだ。
陸遜の細い肩を掴み、華奢な躰をじっと見つめる。
「…甘寧殿?」
その行動を不思議に思った陸遜は軽く首を傾げながら甘寧の顔を覗き込んだ。
「‥女みたいに、綺麗な肌だな」
「え?」
「なぁ、おっさん。誰かさんの指揮のおかげでもう長い事ご無沙汰だと思わねぇか?」
そんな甘寧の言葉に呂蒙は思わずギョッとしてしまう。
「‥興覇‥お前まさか‥」
「ああ、そのまさかだよ」
嘲笑を浮かべながら甘寧は陸遜の躰を自分の方へと引き寄せた。
その行動の意味が理解できずに、陸遜は更に首を傾げさせ、甘寧を見上げ続ける。
「あの‥甘寧殿?」
未だ不思議そうに自分を見上げてくる陸遜に、甘寧は薄く笑みを浮かべるとその色素の薄い首筋に舌を這わせ始めた。
「ちょっ、甘寧殿!?」
突然の出来事に驚き目を見開く。
そんな陸遜の様子など気にもとめずに甘寧は白い肌を舐め上げていく。
「ッ…やっ!止めて下さい!!」
「うるせーよ。」
そう呟くと甘寧は嫌がる陸遜の躰を無理矢理地面に押し倒した。