無双

□*微風*(甘陸)
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朝日が窓から差し込み、開いていた窓から、そよそよと気持ちの良い風が舞い込む。


トントンという何か物を切っている音と、味噌汁のような良い香りがしてきて俺は寝起きで怠い身体を起こした。

起きたばかりで朦朧としている頭で考える。

こんな事しに来てくれる女なんて俺の周りにいたっけな?

そんな事をボケーとしながら考えていると、台所の方から料理を作っているであろう人物が顔を覗かせた。
そいつの顔を見て、思わず目を丸くする俺。



「おはようございます、興覇殿」

「伯言??」


にっこりと微笑みながら朝の挨拶をしてくる伯言。
その姿は、いつも着ている真っ赤な燕尾服ではなく、普段着で…。


やべぇ‥。燕尾服以外の伯言なんて初めて見た…。
ありえねぇくらい可愛い。
…って、そうじゃねーだろ、俺。


は?何で伯言が俺の自宅にいるんだよ?



訳が分からず、俺の頭の中を疑問符が飛びかう。
そんな俺の様子に気がついた伯言は、小さく苦笑いをしてみせた。


「実はですね、貴方の私生活があまりに良くないという事で、孫権様に貴方の身の周りの事をみてやってくれって言われたんです」
「は?マジで!?」
「はい、何度も呼び鈴を鳴らしたのですが、寝ていらしたみたいなんで、護衛の方に言って家に入れてもらっちゃいました。これじゃあ私、不法侵入のようなものですよね」


クスクスと笑いながら困ったように微笑む伯言。
か、可愛いじゃねーか…。
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