無双

□*翡翠*(甘陸)
1ページ/12ページ

ここ最近ちらほら出没し始めた山賊に、孫権から山賊の討伐をして来いという命がでたときの事。

討伐に選ばれた甘寧と陸遜と凌統は馬に又がり山賊の隠邸がある山道を突き進んでいた。
山道の途中、陸遜の少し後ろで馬を進めていた甘寧が凌統にポツリと呟く。

「あいつ細いよなー。背も低いし、ちゃんと飯食ってんのかね?」

甘寧の言葉に凌統は一瞬呆気に取られたような顔をするが、すぐさま何時も凌統が甘寧に向ける、人をおちょくっているような表情に変わる。

「あんたが人様の心配するなんて意外だな。しかしあんたに心配されるようじゃ陸遜も終わりだな」
「あんだと?」
「怒るなよ。本当の事言ってるだけなんだからさ」

ケラケラと声を上げて笑う凌統と、凌統に軽く文句を言い始める甘寧に前方を進んでいた陸遜が呆れたような少し困ったような顔を二人に向けた。

「何を言い合っているんだか知りませんが、喧嘩だけはしないで下さいね」

後ろを振り返った陸遜に凌統は楽しそうに口を開く。

「陸遜!甘寧があんたが華奢だからちゃんと飯食ってるかどうか心配してるみたいだぜ?」

くっくと小さく笑いを溢しながら陸遜に話の内容を告げる。
男が華奢などと言われて良い気分をする筈がない。
そう思った甘寧は馬を凌統の馬に寄せると凌統の脇腹を割りと強めにどついた。

「いてっ!何すんだよ!?落馬したらどーすんだ!?」
「痛くしてんだよ!むしろ落馬しちまえ!」
「なんだと!?」

軽く小競り合いを始める仲が良いのか悪いのか分からない二人に、またも陸遜は呆れた顔を二人に向けた。

「もー!喧嘩しないで下さいって言ってるじゃないですか!」

少し声を荒げさせる陸遜にどつき合っていた二人の動きが止まる。

「甘寧殿。心配していただけるのは嬉しいのですけど、軍師というのはあまり目立たない方がいいんです。ですから私はこの背丈で満足していますし、ご飯もちゃんと食べているので心配しないで下さい」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ