ONE PIECE
□媚薬 R18
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あの後、書類整理が終わった俺は、エースとの約束を果たす為、食堂に行き、マルコ用のブラックコーヒーと、エース用のミルクティと、茶菓子を用意してエースの元に向かった。
「おいエース。コーヒー入れてきたぜ」
ティーカップ2つと菓子を乗せたトレーを見せると、嬉しそうにエースが笑う。
「サッチ、ありがとう!」
「いいって事よ。ほら、これ持ってマルコんとこ行ってきな」
「おう!いってきます!」
満面の笑みでトレーを持ちながらマルコの部屋へ向かうエースの後ろ姿を見て、思わず苦い笑いが溢れてしまう。
なんでかって?
あのコーヒーの中には媚薬が入ってるからだ。
甘ったるいミルクティーなんざ、絶対にマルコは飲まねぇから、わざと1つをミルクティーにした。
ああ、やばい。
ニヤけた面が収まらねぇ。
ニヤニヤと緩みきった顔面のまま、バレないようにエースの後を追いかけた。
暫く歩くと、マルコの部屋の前で、珍しくエースがノックしているのを発見した。
「マルコ。コーヒー持ってきたんだけど中入っていいか?」
「……コーヒー?」
コーヒーという言葉を疑問に感じたのか、マルコが怪訝そうな面しながらドアを開けて顔を覗かせた。
「うん、コーヒー。疲れてるかと思ってさ」
「…お前がそんな気の効いた事するなんて珍しいじゃねぇか」
「はは、実は俺が飲みたいだけだったりして」
そう言ってトレーの上のミルクティーと茶菓子を見せるエースにマルコが呆れたように笑う。
「ちょうど一段落着いたとこだ。入れよい」
「うん!お邪魔します!」
礼儀よく挨拶をして部屋の中に入って行くエース。
扉が閉まるのを確認すると、俺は気配を消して扉の前まで行くと、バレないようにゆっくりと薄く扉を開けて覗き見を開始した。
中ではマルコにコーヒーを渡し、嬉しそうに茶菓子をつつくエースの姿が。
「この菓子うまい!マルコも食う?」
「いや、俺はコーヒーだけでいいよい」
美味しそうに菓子を頬張るエースを柔らかい表情でマルコが見つめる。
……………ん?
サッチ兄さん、随分長い事マルコといるけど、あいつがあんな顔すんのオヤジの前意外で見た事ねぇぞ。
あれ?
余計な事しなくても既にホの字でしたか?
なんだか俄然面白くなってきた。
菓子を摘まむ手を止めてエースがミルクティーを一口啜る。
それを見たマルコもコーヒーを啜った。
ごくり、とマルコの喉をコーヒーが流れ過ぎていく。
さぁどうだ!?
同じく、ごくりと喉を鳴らせてマルコの変化を見逃すまいと目を見開く俺。
暫くすると、マルコが方眉だけを器用にピクリと上げた。
「…………おい、エース」
「なに?」
「コーヒーに何か入れたか?」
「は?なんも入れてねぇよ」
「……そうかい。じゃあこのコーヒーを入れたのはお前か?」
「え?サッチだけど…もしかして不味かった?俺が入れるより全然旨いと思うんだけど…」
俺の名前が出た途端、ビキビキと額に青筋を立てて怒りを露にするマルコにエースが戸惑った顔をする。
「……マルコ?」
「……っ、あの野郎。盛りやがったな…」
俯いてしまった表情を見ようと体を屈ませて中を覗き見る。
チラリと見えた余裕なさげなその表情は、うっすらと汗が滲んでいて、なんというか………
フェルモンムンムン?
三十後半のオッサンに言う台詞ではないとは思うが、今のマルコにはその言葉がピッタリなんじゃねぇかと思う。
なんつぅ恐ろしいオッサンだ。
俺にその無駄に沸き出るエロスを分けてくれ。
「マルコ、大丈夫か?」
俯いてしまったマルコをエースが心配そうに見つめる。
「具合悪いならベッドに横になった方がいいよ」
ハァハァと小刻みに呼吸をし始めたマルコの手を引っ張り、エースはその体をベッドへと導いた。