呪泉郷

□嘘が裏目に(エース)
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マルコと顔合わせをして一週間がたった。

あの後、この船を降りて嫁ぐ為に白ひげの船に乗れと言われた俺は、親父と殴り合いになった。
お互いボッコボコになったくらいの時、白ひげが豪快に笑って、しばらく一緒に行動しようということになった。
ロジャーと白ひげが共に行動するなんて、普通に考えてあり得ないことだ。
たとえこの町が白ひげの統制している町だとしても。
なのに二人は「そうしよう」と意気投合してやがる。

更に言えばマルコの嫁になるつもりも更々ない。
というか俺は男だ。
男と結婚なんてマジであり得ない。
なのにからかう事が楽しいのか何なのか、マルコのスキンシップは日に日に深いものになってきてる気がする。

「あ〜。何とかしねぇとなぁ…」

誰に言うでもなく一人呟いて、ない脳みそをフル回転させて考えてついたのがこれだった。






「マルコ、ちょっといいかな?」

俺から話し掛けられる事が珍しかったのか、マルコは少し驚いた後、フッと小さく笑う。

「なんだい?お前から話し掛けてくるなんて珍しいじゃねェか」

「う、うん。…あのさ、」

「うん?」

「おれ、好きな奴がいるんだ」

俺の言葉を聞いたマルコが、ピクリと方眉を上げて「好きな奴?」と怪訝そうに問いかけてくる。

「お、おう。だからあんたとは結婚できねえ」

「……好きな奴って誰だよい?」

やっぱりそうくるか。

「誰が好きだってあんたに関係ないだろ?」

「関係ないわけねェだろ。俺には知る権利があると思うけどねぃ」

「………ぅ……」

「で?誰なんだよい?」

ダラダラと嫌な汗を全身から流してやっと思いついたのがこれだ。

「………シャンクス」

「あ?」



ごめんシャンクス!
もうアンタの名前しか思い浮かばねぇ。
船に乗ってる奴だとすぐばれそうだし、陸の女をあたかもいるかのように適当に出してもボロがでそうだ。
架空の人物は絶対マズイ。

俺は嘘が人より下手だという自信がある。
着いた適当な嘘の内容を忘れてボロが出るのが目に見えてる。

シャンクスなら昔この船に乗ってたからよく知っているし、会っても年に一回くらいだから何とかなりそうな気がした。

………同じ男つーのを除けばそれなりに嘘を突き通せる筈だ。
本当なら女の名前を出したかったけど、残念ながら程好く仲が良い女の知り合いは俺にはいなかった。
強いて言うならば、ルフィに猛烈な想いを寄せて時折訪れる蛇姫くらいか。
でもあれを好きだと俺が言ったら、陸の女より無理がある。というか俺が嫌だ。
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