呪泉郷

□シャンクス現る(エース)
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ありえねぇ。





シャンクスが好きだとマルコに嘘をついたのはつい先日の事。
年に一回くらいしかオーロジャクソンに顔を出さないシャンクスが、極上の酒が入ったからと船に顔を出しにきやがった。
目の前で親父と白ひげに上機嫌で挨拶をしている、なんともタイミングの悪い男を恨めしく思う。


うう…。
心なしかマルコが俺の様子を伺ってる気がする。


……何とかしねぇと。




「シャンクス!」

親父と白ひげに挨拶を終えたシャンクスに近づく。
俺の顔を見るなりシャンクスは満面の笑みを見せた。


「お〜、エース!大きくなったなぁ」

「アンタが出てってからそんなに変わらないよ」

「そうか?そういやエース。お前白ひげんとこのマルコと結婚したんだって?」

「してねぇよ!…って、その事でアンタに頼みたい事があるんだけど」

「なんだ?」


ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるシャンクスに軽い苛立ちを覚えるが、今はそれどころじゃない。


「じ、実はさ…マルコに俺はシャンクスが好きだって言っちまったんだ」

「…は?お前俺の事好きなのか?」

「んなわけねェだろ!マルコに婚約諦めてもらう為に嘘ついたんだよ!」

「ああ…そういう事か」


「なぁ〜んだ、残念」とか言いながら全然残念そうじゃない楽し気な面でシャンクスは笑うと、チラリと俺に視線を向けた。


「で、俺にどうしてほしいんだ?」

「どうしてって…」

「ぷはは、考えてなかったのかよ」

「あー…うん。あれだ。アンタに熱視線送りまくるけど、気にしないでいてくれたらいいや」

「お前なぁ…そんなんじゃ婚約破棄まで漕ぎ着ける訳ねぇだろ」

「じゃあどうしろって言うんだよ」


呆れ口調でそう言うシャンクスに俺は唇を尖らせる。そんな俺を見てシャンクスはニヤリと悪戯に笑った。


「まあ俺に任せとけよ」

「………おう」


胡散臭い笑顔が気になったけど、このままじゃマルコとの婚約の話がどんどん進んでしまう気がして、俺は渋々頷いて見せた。





それが後々とんでもない事になるなんて想像もつかなかったんだ。








 

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