Cupling

□iPhoneケース
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「…ん、あれ?」

ペンたちのためにセルカを撮ろうと、事務所のソファで自分に向けてiPhoneを構える僕。だけど、僕のiPhoneは中々ピントを合わせようとしてくれない。
なんでだろう、としばらくいろんな角度からセルカを試みていると、ソンジェ兄さんが隣にやってきた。


「セルカ?俺も撮って俺も。」

「撮りたいんだけど、カメラがなんか…」

「んー?」

兄さんは僕の手掴んで自分に引き寄せ、握られているiPhoneを凝視する。兄さんの長い睫毛が僕の頬に当たるんじゃないかってくらいグッと兄さんとの距離が縮まる。

「あっ!」

「わっ」

そんな近い距離で兄さんが突然デカい声を出すもんだからビクっとしてしまった。


「カメラに水入っちゃってる。」

「えっ、嘘。」

「ほら、このへん。」

「あ…ほんとだ。」


どうやらピントが合わなかったのは水が邪魔していたからのようだ。

「お前、扱い乱暴だな〜。」

「はー、修理出さなきゃ。」


そんなやりとりをしているとき、ゴニルが僕と兄さんの間に無理やり入り込んできた。それから、兄さんの肩に腕をまわして、「何?壊れちゃったの?」と、会話にも無理やり入り込んできた。

(ほんとに兄さんのこと大好きなんだから。)


そう考えたのは言葉にせず、「そう。」と返事をしてやる。
ゴニルと兄さんは相思相愛だから、そんなことを言ったら一瞬で甘〜い恋人同士の空気が漂って居ずらくなることを知っているから。


「ソンモ、iPhoneケース買わないからいけないんだよ。」

ゴニルは、「ほら、こうゆうやつ」と言いながらiPhoneを取り出して見せてくる。
青のiPhoneケース。
すると、目を輝かせた兄さんもiPhoneを取り出して、見せてきた。
ゴニルと色違いの赤のiPhoneケース。


(…はぁ、結局は相思相愛アピールしてくるわけか。)

思いながら、苦笑いを浮かべて、「いいね」と短く伝える。
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