その他×○○

□【凸凹な僕等】
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ーーーーーうわ、岡田さんの体が。
ギューッと縮まる距離。高鳴る鼓動。

福士はそれでも幸せだと内心嬉しかった。



「岡田は本当に後輩いじるの好きだね〜」
「だって可愛いんだから仕方ないじゃん」



長野の言葉に唇を尖らせる岡田。
まるで捻くれてる子どものように見えて。



「、っははは」



福士は可愛いと思って、笑った。



「、おっ。もうこんな時間じゃねぇか」
「あらほんとだ。そろそろ行かないと」



ふと、坂本が時計を見る。
それに続いて長野も見つめた。



「えー、もう行くの?」



咄嗟に福士から離れる岡田。

行かないで、と。
まだ話していたい、と。

眉を潜めて口を一直線に結んでいた。



「何て顔してんの〜。
一生会えないってわけじゃないんだからさ」



またね、と足を進める坂本と長野。



「.........頑張って、」



名残惜しそうに、
2人の歩く後ろ姿を見つめ続ける岡田。



(............、ッ)



それを見ている福士は、
何だか変な想いが心の中の雲が覆った。

ーーーーーそんな顔しないで。
あの2人に向けてるその表情。

俺にも向けて欲しい。
俺だけを見ていて欲しい。



「......、欲張りかって.....」



つい、心の声が口から出た。



「、何が欲張り?」



ハッとして隣を見ると目が合って。



「ーーー岡田さ、ん」
「、?ん?」



あぁ、何てこの人は無防備なんだろう。

直ぐにでも抱き締めたい。
そのまま押し倒して泣かしたい。

自分だけのものにしたい。



(、って俺は馬鹿か)



小さく息を吐いて微笑んだ。



「じゃあ俺、行きます」



ペコッと頭を下げて背中を向けた。

これ以上一緒に居たら、
自分を抑えきれなくなりそうだから。



「失礼しま.....」
「今日の夜さ、時間ない?」



突然の問い掛けに一瞬だけ怯む。



「時間があったら久々にどう?」



そう言って、両肘を軽く上下に揺らした。
意味が理解出来た福士は段々と微笑んで。



「っ、ぜひ」



ーーーーー久々のジムの誘い。
これを断るとか有り得ないでしょ。



「また連絡する。撮影頑張って」



そう言って今度は岡田が背中を向けた。



(..................)



歩き姿までもカッコ良い。

早く夜になって欲しい。
早く岡田さんに会いたい。

ーーーーー胸がドキドキする。



「......っよし」



福士は小さくガッツポーズし、
緩やかな足取りでスタジオに向かった。

ーーーーー夜、7:00。



(.........、寒)



楽しみだからって早く来すぎたかな。
外は銀の世界で少しだけ雪が降っている。

待ち合わせは7:30。
そう、岡田からメールが届いていた。



「......早く会いたいなぁ」



ボソッと囁いた時だった。



「誰に会いたいの?」



急に誰かの手が自分の肩に置かれた。
見なくなって誰だかは声で直ぐ分かる。



「まさか彼女とか?」
「そういう人はいませんよ、岡田さん」



クルッと振り向くと、
そこには思っていた通り岡田の姿があって。
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