長野×○○

□【秘めてた想い】
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ガヤガヤとする話し声や物音。
そんな広いスタジオの隅に集まるV6。

今日の撮影はメンバー揃っての仕事で。
新しいプロモーションビデオの作成。



「久々だからなー」



いつも以上に気合の入ってる坂本。
確かにメンバーが集まるのは久々で。

他のメンバーも笑顔で話している。

ーーーーーたった1人を除いて。



「岡田さん大丈夫ですか?」
「え、あ......はい」



ハッとして顔を上げると、
プロデューサーらしき人が眉を潜めていた。



「しっかりして下さいよー」
「.........すいません、」



はぁ、と深い溜め息を吐かれる。
そして、背を向けてどこかへ行った。



(..................)



自分だって溜め息付きたい。
自分だってしっかりしたい。

けど最近、体が悲鳴を上げている。



「岡田、大丈夫か?」



不意に駆け寄って来た井ノ原。
きっと心配で気に掛けてるんだろう。

いのっちは優しいから。



「ん、大丈夫」



これ以上は心配掛けたくなくて。
岡田は笑顔でありがとう、と言った。



「.........?、お前.....」
「井ノ原くーん!!!」



何か言いかけた時、
三宅が井ノ原の名前を大声で呼んだ。



「次の振り付け何だったっけーっ!」



森田と三宅がこっちを見つめる。
岡田は井ノ原に行って、と進めた。



「いのっち、呼ばれてる」
「お、おう.......」



怪訝そうな表情を浮かべながら、
井ノ原は足早に2人の元に戻って行った。



「岡田、どうかしたの?」



森田の問い掛けに首を横に振る。



「んーん。何でもねぇよ」
「......本当に?」



不安そうにする三宅に頷く井ノ原。



「なら良いけどさ.....」



少し重い雰囲気になったのを感じ、
井ノ原はパンっと手を叩いて声を張った。



「ほら、振り付けの確認するぞ!」



そう言うと2人は顔を上げて、
新しいダンスの振り付けの練習をし始めた。

岡田も練習しようと、
椅子から立ち上がろうとした時だった。



「............っ、」



突然、襲い掛かってきた眩暈。



「ーーー」



前に倒れそうになったが、
すんでのところで誰かによって救われた。

ゆっくりと目を開く。



「............大丈夫?」



微笑みながら支えてくれていたのは。



「長野く、ん......」



優しく笑い掛けてる長野君だった。



「、ごめ......ッ」



揺れる視界に眉を潜める。
そんな岡田を見て腕を背中に回した。

誰にも目が付かない場所で。
心配されるのが苦手な岡田を思って。



「眩暈でしょ。
.........落ち着くまで体、預けてて良いから」



そう言って岡田の背中を摩り始める。



(..................)



長野の言葉に甘えて、
暫くの間、自分の体を預けて貰っていた。
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