井ノ原×○○

□【積極的な彼】
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最初のキスは不意打ちだった。



「ーーー、」



恥ずかしくて顔を俯かせる岡田。
その仕草が可愛くて堪らなくて。

早く体を重ねたい。
お互いに愛を深めたい。

そう強く思ってたのは俺の方だった。
ーーーーーそれなのにいつからだろうか。



「いのっちー」
「今何してるん?」
「会いたい」



気付けば最近は岡田の方が誘ってくる。
電話もメールも前より増えてきた気がする。

もちろん嬉しい。
嬉しいけど、凄く幸せだけど。



「エッチしよ」
「..................っ、え?」



思わぬ言葉に持ってたコップを落とした。
それ程の驚きと衝撃で頭が回らなくなった。



「おまっ、エッチって.....ッ」



ゴホゴホっと飲んでたお茶でむせる。
だーかーらー、と腕を絡めて言った。



「エッチなことしよーってば」



いつから何だろう。
こんなに彼が積極的になったのは。



「ーーー、」



何も言えない井ノ原。
でも、いつもと同じ返答をした。



「また今度な」



そう言うと岡田は一瞬で顔を曇らせた。



「またそれやん」



何度目の【また今度】何だろう。
こっちから誘っても断られ続ける。



(いのっちのばーか)



少しは俺の気持ちも考えてよね。



「それって放置されてるんじゃん」
「.....................放置?」



1週間前ぐらいのこと。
長野と2人きりの際に相談した時だった。



「いのっちがキス止まり何やけど...」



この質問に対しての答えは呆気なくて。
【放置】というただ一言だけで辛かった。

いのっちはまだ好きなんだろうか。
そんな想いも芽を出しつつあって。



「不安なら岡田から誘っちゃえば?」



そしたらイチコロだよ、と笑う長野。



(......やってみようかな)



それからだった。
岡田が積極的になったのは。



「おーかーだー」
「............」



井ノ原の呼び掛けに無視する岡田。



「准ちゃん」



下の名前で呼ぶと、
一瞬だけ目を見開いて頬を赤く染めた。



「その呼び方はしないでって言ってるやろ」



本当は嬉しくて堪らないくせに。
岡田ってば直ぐ顔に出るんだから。

赤くなっちゃってリンゴみたい。



「あ、そろそろ行こうか」



不意に時計を確認する井ノ原。
その流れで岡田も時計に視線を移す。



「っ、やば」



今日は雑誌の撮影日。
井ノ原と岡田と長野の意外な3人での撮影。



「でもまだ長野君来てないけど...」



井ノ原がそう言った時、
タイミング良くインターホンが鳴った。



「「来たッ」」



顔を見合わせる井ノ原と岡田。
2人は慌てふためきながら準備を終えた。



「おっはよーうって.....何?今起きたの?」



髪の毛ボサボサだよ、と井ノ原を見て笑う。
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