その他×○○

□【凸凹な僕等】
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映画で共演してからだった。
俺が岡田さんに憧れを持ったのは。



「そういう時はココを使って、こう」



そう言いながら色んなことを教えてくれて。



「一緒にジム行く?」



最初に誘われた時、
自分がどんなに、凄く嬉しかったか。

貴方は知らないでしょ。
貴方は分からないでしょ。



「ーーー、はいッ」



考える暇もなく俺は答えた。

少しでも一緒に居れるなら。
誰よりも一緒に居れるなら。

迷うことなく誘いを受け入れた。

ーーーーー岡田さんが好きだから。


(、あれ......?)



今日は雑誌の撮影で、
朝早くからスタジオに足を運んだ福士。

細い廊下を歩いてると見慣れた後ろ姿。



(おか、ださん......?)



自分より低い身長とは思わせない。
そのぐらいカッコ良くて、凄くて。

心の底から尊敬する人が目の前に居た。



「っ、岡田さん!!!」



迷うこと無く勝手に名前を呼んでいて。



「おっ、久しぶり」



振り返って優しく微笑んでくれる岡田さん。



(あぁ、好きだなぁ)



初めて会ったのは映画で共演した時だった。

肉体的にキツい撮影が大変で。
正直言って俺は、疲れていた。

でも、そんな時にいつも支えてくれたのが。



「大丈夫?」



ーーーーー岡田さんだった。



「撮影大変だけど頑張ろう」
「無理し過ぎたら駄目だよ」
「武術なら俺に何でも相談して」



一言一言が嬉しくて。
気にしてくれるのが幸せで。

いつからか、心に変化があって。
【尊敬】から【恋心】に変わっていった。



「こんな所で何してるの?」



撮影?、と尋ねてくる岡田。
目が合ってドクドクと高鳴る鼓動。



「はい、雑誌の撮影で」
「さっすが〜。毎日大変そうだね」



そんなこと無いですよ、と苦笑いをする。
すると、岡田が不意に背中を叩いてきた。



「また時間あったらジムに行こうね」



んじゃ、と岡田はその場を去って行った。



「ーーー」



岡田の後ろ姿を見つめ続ける福士。
それはまるで愛おしい人を見つめるようで。

ただただ、立ちすくんでいた。



「福祉君?」
「、っは、はい」



ボーってしてるけど大丈夫?
と、目の前にいるカメラマンに言われた。



(ーーーしまった)



今は雑誌の撮影の最中。
それなのにボーッとしてるなんて。



「すいません、」



仕事とプライベートは別なんだ。
変な気持ちは仕事に持ち込まない。

これも、岡田さんから教えて貰ったこと。



「でも、そんな福祉君もカッコ良いよ」



カメラマンの言葉に、
そんなこと無いですよ、と苦笑する。



(俺よりも岡田さんの方がずっと......)



ーーーーーって、俺は馬鹿か。
また岡田さんのことを思ってる。

撮影中も家に居ても。
頭の中は岡田さんだらけ。



(俺.....大丈夫かな)



このままじゃ危険な気がする。
自分を抑え切れなくなりそう。

いつか、岡田さんを......。



「ラスト撮りまーす」
「っ、どんな顔したら良いですか?」



カメラマンの声に問い掛けた。
すると、少し考え込んでから言った。



「好きな人の背中を見つめる感じで」



あぁ、分かる。
さっきこのシーンを撮っててよね。

岡田さんの後ろ姿を見つめていたのに。
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