夢旅

□火星へ。決意を胸に
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「うわー、すっごい綺麗………」
窓を見ると、辺り一面漆黒の闇。

幾千もの星がキラキラ光っていて、散らばっている。
………まるで、真っ黒なキャンパスに絵の具を散らしたようだ



アネックスは、火星に向けて飛び立った。
100人の仲間と共に火星へ行く。

それぞれが、夢や目的をもった者達ばかりだ。

(………私は)

「おーい、はるか!どこに行ってたのよ、もう!」
「あ、シーラごめんごめん……」
シーラには、黙って抜けてしまったため、少し悪いことをしてしまった。

シーラの後ろを見ると、銀髪のかわいい女の子がいた。
「あの、その子は?」
「ああ!ちょうど紹介しようと思ってさ、ドイツの子なんだけどー」
「エヴァ・フロストです……よろしくお願いします」

エヴァちゃんはそう言うと、礼儀正しくペコリとお辞儀をした。
……少し緊張しているようだ。

「はじめまして、はるかです!これからよろしくね、エヴァちゃん!」
笑って手を差し出すと、エヴァちゃんもおずおずと握手してくれた。

………こうしてみると、エヴァちゃんがかなりの美人であることがわかる。
(というかなんだ、この成長というか、個人差といか、経済格差は……)

胸か………


「ないなー」

「?」
「あっ、こっちの話!」
はぁ、と溜め息をつくと、心配そうな目で見られたので、慌ててフォローしておく。
「あの、はるか…私のこと、エヴァって呼んでくれていいよ!」
「………じゃあ、エヴァ!」
そう呼ぶと、エヴァは満足そうに微笑んだ。
「ホントにその敬語クセ直らないねー」
シーラにどうしたものか………と言われた。

…………別にそんなことないと思うけどな………

「あの、ここじゃなんなのでラウンジで話ませんか?…………皆もいると思うし!」
「じゃあ、行こっか!」
「………うん」


なんだろう?何か、こうゾワゾワするような…………違和感が………











「じょう」









******
ラウンジに着くと、皆が思い思いに過ごしていて、スポーツをやっている人や、おしゃべりをしている人もいた。

「それでねー、あの時マルコスとアレックスなんか…………」
「うわお、そんなことあったんだ……」
「お二人共、シーラのことが心配だったんですよ」
「まさか、そんなことないない」

皆で楽しく話をしている最中、私だけが心からは楽しんでいなかった。

(…………さっきより、違和感が強くなってる)
今いるラウンジは、人の声や動きのせいで、違和感の正体が上手く掴めない。

「………」
試しに、自分のマグカップのコーヒーを使って探知してみる。


『ーーァーァー♪』


水面に波紋が広がり、違和感の正体を映し出す。

…………3時の方向に、何かいる?


見ると、波立っている水面に一つだけ波を遮っているモノがある。

「ー?どうしたの、はるか?」
「いや、えっと…………っ!!」


水面の波が乱れ、何かが凄いスピードでこちらに…エヴァの方向に向かっているっ?!

「ーっ!危ないエヴァ!!!」
咄嗟に、エヴァを突き飛ばす




ドゴオオォッッーー!!!



さっきまで、エヴァがいた所は、施設の瓦礫と破片が降り注いでいた。

煙の向こうには、ナニカガイタ



「…………嘘、でしょ?」




巨大な黒い害虫、テラフォーマーがいた…………!!






「…んで、なんで!?まだ、火星に着いてないのにっ!!」




目の前のソイツは、無機質な目で私達を見ていた。
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