長編


□05.商品の末路
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カーテンを開けたら眩しい光が天井に差していた。

ゆっくり歩くはずだったのに。
カーテン向かいの人々の顔を見ていると、気がおかしくなりそうで、顔を下に向けた。

ー 一体ここの誰が私を買い取るのだろう…ー

売られた人の末路なんて子供の私でも予想できるに十分だった…

会場で数人が拍手している。
光のスポットライトに行くとすぐに、司会者に顎をつかまれ上に挙げさせられた。

「みてください。この神秘的な蒼眼に、白く象牙の様ななめらかな肌…その体使いといったらとても子供には見えません!」

人々がおおっと私を見る。惚れ惚れとした様に見てくる人も居るが、
皆んなの目に私は《人間》としてみて居なかった…

とても不愉快で気持ちが悪い。
私は目を背けたくてたまらなかった。

「それと、おまけにこちらの服はまるでワノ国の着物よりも繊細で鮮やか!…もちろんこれもサービスです。
商品をご購入された方は、傷付けようが痛めつけようがどうぞお好きな遊びができますよ!」

皆んなが札を握り始めたのがわかる。
前の席に居る宇宙飛行士の様な格好の人たちが私をにやにやと見ていた。

「実は先ほどハプニングで、この商品が脱出してしまいまして。何とか取り押させたのですが、
不思議なことにどう抜け出せたのか…首輪が鳴りませんでしたし…

まぁでも、威勢がとっても良く矯正のしがいがありますので。

まずは100ベリーから…
では始めましょう!!!」

司会者が槌を叩くと同時に、
わっと札が挙げられた。

1200
1500
2000


頭がくらくらしそうだった。でも耐えなければいけない…

しばらくすると65000と行った。
どうかこのまま終わらないで…

すると一気に50万叩き出された頃には周りの声が静かになってきた。

そしてー
「500万だ!これでどうだ?」

札の持ち主は、40前後の初老だった。
小太りでニヒルな笑顔がより一層私を不安にさせた。
何故よりによって。このひとなのか…

「もちろんですとも!…皆さんもよろしいようで?」

もう無理なのね…

「ーでは!500万でら「1億5000」…!」

皆んなが息を飲んだ。しかし姿が見えずだった。

司会者もわけが分からず…ごほんと咳をすると仕切り直した。
「あ…だ、誰かの聞き間違いだったようで!
改めて500ま」
「1億5000。聞こえなかったか?」

また声が聞こえた。
「え、えっと…どちらの方で?」

「姿なんぞ見られなくてもいいだろう?その商品を裏へ回せ。
金はその後だ。」
姿が見えない声に私は目を見開いてしまった。

数十秒の沈黙の後に、司会者の落札!と言う声と同時に、
業務員が私を掴み、ステージを後にした。


途中、アルとすれ違った。
状況の分からなそうな顔をして私を見つめていた。

扉が開く時、
アル…!と私が叫ぶと弾かれた様にアルが立ち上がると同時に、扉が閉められた。


商品の末路
(私の予想したのと斜め上の上だった…)

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