長編


□0.ここどこだろう…こわいね…
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慌てて手を前に出してみるとグラリと地面が大きく揺れ、小さな体はまたビクっ!と飛び跳ねた。

地面がゆれた…
まって、もしここが地面なら、下なら揺れるわけがない…

「…ぅ…そ…」
焦点のあわないタンザナイトの瞳を黒柱の隙間の下を見た。
「はぁっ…ぁ…!!!!!」
上の時ほどじゃないけど、底が黒くて見えない位に深い。
嘘だ、なんでこんなとこにいるのだろう…
なんでこんなのがあって、どうして私がここに…どうして私なんだろう…
息が出来ない。怖くてたまらない。体を縮めてすぐ外の視界を外し目をつむると、喉をむせかえらせた様な声が聞こえた。
「お嬢さん。起きたのかい」
「ぇ…」
その声は自分の籠のすぐそばの籠の中から聞こえた。
一人の老人だった。
「大丈夫かい?お嬢さんそんなに震えて…」
「ぁ…ぃ、だい、じょうぶ…」
少しも落ち着いてる暇が無かったから。人の、まともそうな人の声を聞けて、大きく安心した。
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