仮面ライダー鎧武 長編小説

□青い星と戦士達
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 沢芽市の隣、美里市に住む、白石露斗はこの日も、小学校に急いでいた。

 このままでは遅刻ギリギリだ。  

 露斗の両親は二人とも研究者だ。
 二人とも仕事に没頭しているためか、帰ってくるのも遅い。
 そもそも何を研究しているのか、露斗は知らない。
 あまり会うこともないので、話もなかなかできていないからだ。

 おかげで、朝はいつも遅刻ギリギリになる。
 ただ、今日は二人とも様子がおかしかった。
 何かあったら、と、メモリーと何かの機械を渡された。

 通学路を走っていると、突如サイレンのようなものがなり響く。

『緊急事態発生、緊急事態発生。すぐに美里市の外へ逃げてください。逃げられないものは、建物に避難し鍵をかけ、外に出ないようお願いします』

 何度もこの放送が繰り返される。

 なんなんだ一体?

 露斗はとりあえず学校に急いだ。
 美里市の外へなど、子供の足でいける距離ではない。

 学校にいけば、先生がいる。
 他の生徒もいるだろうし、なんとかなる筈だ。

 だが、露斗は恐怖に捕らわれた。

 目の前に、昔経験したあの化け物達がいる。
 確かインベスとかいう化け物だ。わ
 小さい頃、露斗は沢芽市にいた。
 その時も、この化け物に襲われかけた。

「そ、そんな…」

 露斗はとりあえず反対へと逃げようとしたが、後方にもいる。
 近くの路地に逃げこんだ。
 そこから塀を飛び越え、とりあえず空き家に逃げ込む。

 辺りでは悲鳴が聞こえる。

 どうしよう…
 とりあえず、電話をかけようとしたが、つながらない。

 何かあれば…露斗はランドセルの中を探る。
 あの父から渡された、謎の機械に手が当たる。

「これなら、なんとかなるのか?」

 機械を取りだし、兎に角触ってみるが、わからない。
 これが救ってくれるというのだけ信じている。
 
 ガシャン

 何かが割れた音が聞こえる。
 さらに、何かの唸り声のようなものが聞こえてきた。

 心臓が激しく鼓動する。

 兎に角、露斗は機械を触った。
 ほぼお願いするようにだ。
 何が起こるか分からないけど、助けて。
 
 その時、機械が動き、空間にチャックのようなものが開いた。
 そこから見える景色は見たことのない世界だ。
 ただ、これ以上ここにいるよりはいい。
 少年は機械を手に取る。

 インベス…そう、沢芽市でみた怪物がこちらに来ている。
 どんどんと、露斗に近づいてきた。

 このままじゃあ…

 露斗は意を決して、謎のチャックの向こう側に飛び込んだ。
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