仮面ライダー鎧武短・中編&その他集

□The opening suddenly
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 詩島霧子は、追い詰めていた。
 今回の犯人を・・・

「確保します・・・あなたが全ての犯人だったんですね」

 銃を構えビシッと言っていた。
 相も変わらずの警察の制服を着ていて、無表情のまま、その男を追い詰めていた。

「だから、俺じゃない…なんなんだよ、一体」

 男は、そんなことをぼやいている。
 そもそも、なんでこんなに追い込まれているのかもわかっていない。

「話は特状課で聞きます。だから、抵抗はやめて大人しくしなさい」

 男は、ただただため息をついた。
 なんでこんなに巻き込まれるんだ?

「まあ、危害は加えないから大人しくするけど・・・困るんだけど、こういうの」

 迷惑そうに言われながらも、キリッとしたまま、男との距離を詰めていく。

「貴方がロイミュードであることはもうわかってます」

 男はその言葉にはあ?っという顔をしていた。

「なんなんだ?ロイミュードって・・・知らないし」

 それでも霧子はぶれない。
 その男をじっと睨みつけたまま近づいていき、手錠をかけた。

「だ・・・まじで」

 男はもはやため息しか出さなかった。

「さあ、詳しい話聞きますから大人しくついてきなさい」

 もはや反論は許さないといった感じだ。
 男も最初に言った通り、抵抗しなかった。

 そのままパトカーに乗り込むと窓を見て、男はため息をついた。
 一体なんでこんなことに?



 気付いたら、久留間運転試験場内にある「特殊状況下事件捜査課」に連れられてきていた。
 霧子は、その男を事務的に取調室に入れる。
 男は本当に困惑していた。
 特に悪いことをしたなど覚えすらない。

「貴方はあのどんよりの中、普通に動けていました。貴方がロイミュードに関係あることは間違いありません」

 そう言って、霧子はおとなしく座っている男の目の前をたたく。
 机がバンと揺れていた。
 男ははあっとため息をついた。

「どんよりって何?そもそも、あんたもあの場で動いてたじゃないか。そもそも何が起こってたのかすら、俺には分かっていない」

 完全に巻き込まれた。
 男はそう言った目を向けていた。
 霧子はそれに応じない。

「どんよりは重加速現象のことです。貴方には関係なかったかもしれませんが、周囲の人間や物体の動きが遅くなる現象です。その中で身動きが取れるのは、ロイミュードかロイミュードに関係して装置を渡されている者だけです」

 男はさっきまでの困惑した顔ではなく、真剣なまなざしで、霧子を見つめた。

「ではロイミュードとはなんなんだ?」

 ほっとけないから情報を手に入れる。
 不思議に思いながらも霧子は説明する。

「ロイミュードはアンドロイドです。人間の欲望をエネルギーとして吸収して行くことで進化態に覚醒する存在です。…関係しているなら、そのくらい知っているんでしょ?」

 さっきまでの真剣な表情とは違い、男はふっと笑っている。

「嫌、俺は関係していない。別件で来ていたら巻き込まれただけだ。どうしても人をほっとけないからな…で、いい加減解放してくれないか?」

 なんなんです?
 詩島霧子は疑問でいっぱいになっていた。
 そもそもこの男の名すらわかっていない。

「そもそも名も分からないあなたを開放するわけにはいきません」

 男は正直迷っていた。
 名前を名乗って調べられたら、ある事実にたどり着いてしまうかもしれない。
 かといって、下手にここを逃げ出しても力についてばれてしまう。
 まあ、名前くらいならいいか。

「名前は葛葉紘汰・・・フリーターでいいかな?実際仕事ないし・・・」

 あっさり名乗られ、急いで西城 究に調べてもらう。
 詩島霧子はじっと紘汰を見つめる。

「それで…ロイミュードじゃないと、どう証明をすれば・・・」

 その時だ、管内に悲鳴が聞こえた来た。

「ば・・・化け物だ・・・」

 詩島霧子は急いで外を見る。
 そこにはチャックの様なものが開き、灰色の怪物が5体ほど出てきている。
 さらには紫色の果実をつけた変な植物が広がっていた。

「まさか…遅かったか。はやく手錠を解いてくれ。あいつを止められるのは俺達しかいない」

 そんなこと言われても・・・
 そもそもこんな時に泊さんは・・・
 なぜか泊進ノ介は戻ってきていない。
 みんな銃を撃ちこむが効かない。

「そ・・・そいつは沢芽市出身のアーマードライダー鎧武だ」

 西城 究の発言によくわからず、紘汰をみた。

「そう、アーマードライダー鎧武だよ。インベスの事は任せろ。そんな武器じゃ攻撃できない。いいから早く手錠を解いてくれ」

 よくわからないが、どうすることもできない。
 霧子は仕方なく手錠を解いた。

 紘汰は急いで戦極ドライバーを取り出す。

「変身」

 オレンジロックシードを使い、アーマードライダー鎧武オレンジアームズに変身する。

「止めてる間に早く逃げろ」

 大橙丸と無双セイバーで、インベスを次々に倒していく。
 霧子は今何が起こっているのかわかっていない。

「仮面ライダー?」

 ただ全く見たことのない形だ。
 逃げ遅れている人を助けながら戦っている様は、確かに敵とは思えない。
 しかも強い・・・
 歯が立たなかったインベスが滅んでいく。
 気付いた時にはチャックの様なものも閉じ、インベスと呼んでいたあの化け物は消え去っていた。

 鎧武はこっそりヘルヘイムの植物に手を当てると、植物を消し去った。

 変身をといた紘汰はふーっと大きなため息をついて霧子を見つめた。

「で、解放してくれる?俺はあいつらを止めるために来たんだ。それは俺達にしかできない事だから。…じゃあ…」

 そのまま入口に向って走り去っていた。
 それ以上に西城究が驚いている。

「な・・・ヘルヘイムの消滅後、消息不明?

 じゃあ、彼は一体なんなの?
 もはやその姿がどこにもない紘汰に、ただただ驚くほかなかった。
  
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