Jugend

□第1話
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帝光中学校 バスケットボール部

部員数は100を超え 全中3連覇を誇る
超強豪校

その輝かしい歴史の中でも 特に《最強》と呼ばれ 無敗を誇った―――

10年に1人の天才が5人同時にいた世代は 《キセキの世代》と言われている





――――――が


《キセキの世代》には奇妙な噂があった


誰も知らない
試合記録もない

にも関わらず 天才5人が一目置いていた選手がもう1人――――




幻の6人目――シックスマン――がいた
―――と









第1話


桜の花が咲き誇る、出会いの季節。
僕は、誠凛高校へ入学した。

去年できた新設校らしくて、先輩が少ない。それに、家も近いからココを選んだ。あと、兄さんもいるし。



さて、今僕はバスケ部のブースへと向かっているんだけど…。


「ラグビー興味ない!?」

「将棋とかやったことある?」

「日本人なら野球でしょー」

「水泳‼︎チョーキモチイイ!」


大声で部活勧誘をしている先輩が邪魔で全然前に進めないんだけど!?

イヤホンつけて、曲を聴きながら進もうとしても、通れるほどの隙間がないぐらい密集してる。ムカつく。


「あ、ねぇ、君…」

『………』

「おーい」

『………』


あ、隙間みっけ。やっと進めたや。


「……気付いてくれなかった(泣」


ごめん、気付いてました。僕、耳いいから。
でも、返事したら勧誘が長引くと思って、無視しちゃった!

あ、ブースの場所が書いてある案内板がある。

……へー、意外と部活多いんだな。
剣道部、水泳部、登山部、ダンス部…。アメフト部もあるんだね。

で、肝心のバスケ部は……っと。あったあった。
まだ進まなきゃいけないのか…。


「ねぇ、軽音部入らない!?」

『えっと………』


正面から声をかけられて立ち止まってしまった。

こうやって来られると無視できないじゃん!
仕方ないなぁ…。


『すいません、もう決めてあるんで』


笑顔で断らせてもらった。

周りを見ると、さっきより人が多い。
しかも、僕の周りにも人が集まってきた。うっとおしい。

無理矢理通り抜けて、少し歩調を速める。
後ろから「待って〜〜!」って声が聞こえるけど、無視無視。
バスケ部のところに行きたいから構ってられないや。

………あ、この曲好きなやつだ。












――数分後


人混みを進んでいると、ブースを見つけた。
薄っすらと浮かんだ汗を制服の袖で拭う。
はぁ、疲れた。

大きな溜息をついていると、前から大きな男の人が歩いてきた。

赤い短髪で、赤い瞳の男の人。他の人より、頭一つ分は背が高い。

バスケ部の入部希望者か。


?「……なんだよ?」


僕の視線に気付いたのか、コッチを向いていた赤髪君。

すごい迫力。
虎を見てる気分になる。


『なんでもないよ、気にしないで』

「……………」


スタスタと歩いて行ってしまった。

にしても、ホントに背高いな。190cmはある…かな?兄さんと同じぐらいか。


ブースでは、マネージャーと思われる女の先輩と、メガネの先輩が話をしてる。でも、兄さんの姿はない。

……勧誘をサボってるのか。あのバカ兄貴は。


ブースの方へ行くと、僕に気付いたみたい。


?「入部希望かな?」


メガネの先輩が聞いてきた。


『はい。マネージャー希望なんスけど……』

?「マネージャー!?」


女の先輩が、嬉しそうな声を上げた。


椅子に座らせてもらって、紙を貰う。
先輩によると、この部にはマネージャーがいないらしい。


『え?マネージャーいないんスか?』


名前を書いていた手を止め、先輩を見る。
あ、この女の先輩…。結構可愛い顔してる。


?「そうなの。私はカントクだから」

『え、カントク!?』


叫んだ後、すぐに左手で口を塞ぐ。
ついつい声を上げちゃった。

まさか、カントクだとは思わねぇじゃん。生徒がカントクってアリなの?


?「ま、フツーの反応だな」

『そうですよね』


先輩と話していると、全部書き終わった。間違いがないか確認してから、女の先輩に紙を渡して椅子から立つ。

では、と言ってから、その場を去る。
そして、少し歩いたところで


?「橙田……詩乃…。…あ、アイツの妹か!」

?「でしょうね。ちょっと似てたわ」


気付いてもらえたみたい。

さて、兄さんはどこにいるのか…。
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