Eine Lieblingsperson
□第3話
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『……んんっ…。ふわぁぁぁっ……』
ベッドから起き上がり、伸びをする。ぼんやりとした思考が、だんだんとハッキリしてくる。
そして、本当にここのファイターになったんだということを実感する。
とりあえず、ベッドから降りて着替えようとする。が……
『あ……私、服持ってないよ…』
ここに来た時は何も持っていなかったから、当然服もない。
着替えに困っていると、部屋のドアが開いた。
クレイジー「…起きていたか」
『クレイジーさん…。おはようございます(ニコッ』
クレイジー「……あぁ、おはよう///」
顔が赤いのが気になったが、それよりも…。
『クレイジーさん、私、服持ってないです』
クレイジー「知ってる。右手に聞いた」
昨日、寝る時に「ラディアちゃん、服持ってないでしょ?」とマスターに言われて気がついた。パジャマは、マスターのものを借りたので、問題ない。
クレイジー「ほら、これ」
『………?』
差し出された服。ラディアはそれを見て首を傾げる。
クレイジー「お前の服だ。右手が作った」
『マスターさんが…?』
クレイジー曰く、ラディアの服はマスターが全部作るそうだ。だから、好みを教えてほしいと言う。
『私は…えっと、ゴシック系が好きですね』
クレイジー「……わかった、伝えておく」
そう言うと、部屋から出て行った。ラディアはクレイジーが持ってきた服に着替える。
『……好み、聞かなくてもよかったんじゃないかな…?』
マスターが作った服はゴシック系で、ラディアの好みそのものだった。
着替えを済ませて、朝食をとるため食堂へと向かう。
『えーと…こっちであってたっけ…?』
ゼルダ「あら、ラディアじゃない。どうしたの?」
『あ、ゼルダさん!』
ラディアはゼルダを見て笑顔を浮かべる。
昨日の交流(?)で、ゼルダを気に入った様子のラディア。ゼルダが魔法を使えると知って、稽古をつけてもらうことになったらしい。
ゼルダ「食堂へ行くのかしら?私も一緒に行っていいかしら?」
『はいっ』
ゼルダと一緒に食堂へ向かうラディア。実は迷っていたのでとても助かった。
ゼルダ「その服…マスターが作ったのかしら?」
『そうらしいです。クレイジーさんが言ってました』
ゼルダ「やはりね。似合ってるわよ、ラディア」
『あ、ありがとうございます』
そんな他愛もない話をしていると、いつの間にか食堂に着いていた。
中はガヤガヤと賑わっている。
マスターを中心に、何か話をしているようだ。
ゼルダは「少し待っていて」と言って、話の中へ入っていく。
取り残されたラディアは、ボーッとその様子を見ている。すると、マルスがこちらへ歩いてきた。
マルス「1人取り残していてごめんね、ラディア」
『いえ、皆さん何かお話中のようですし…』
マルス「まぁ、そんなに大事な話じゃないんだけどね」
それよりさ、と、マルスは笑顔になる。
マルス「朝食をとったら、僕と出かけないかい?」
『え…。で、でも、私、お金とか持ってないですし…』
ラディアが戸惑っていると、「そんなの気にしなくてもいいんだよ」と、マルスは言う。
マルス「行きたくないの?」
『い、行きたいですけど…』
マルス「じゃあ決定ね、早くご飯食べてね」
そう言って食堂を出て行った。話をしていた人達もご飯を食べ始めているので、ラディアも一緒になる。