□秘密の放課後
1ページ/5ページ

下校時間が迫り校内放送が流れ始めた頃、薄暗い廊下を歩いて1人教室へと向かう俺。明日の朝に提出しないといけない課題を机の中に忘れてきてしまったのを思い出したのが既に部活が終わった時間だったために、急いで廊下を進む。

「やっべー、早くしないと時間が…!」

早歩きくらいのスピードで極力足音を響かせないように注意しながら無事教室に到着し、扉に手をかけた俺が扉の窓ガラス越しに見たのは信じられない光景だった。

「…っ、え?」

思わず声が出かけた口を手で抑え、少し屈みつつ教室内を覗き込む。
電気が消え、静かになった教室の窓側列の前から3番目の席、もっと言えば俺の席で人影が動いているのが見えた。
暗くてよく分からなかったが、暗闇に目が慣れてくればそのシルエットが徐々にはっきりしてくる。俺の机の側に立ち何やらごそごそしているのは、どうやらクラスメイトのようだ。

「っていうか、あれ久保くんじゃん…」

そう、何やら怪しげなことをしていたのは俺の隣の席の主こと久保くんである。賢そうな顔にメガネをかけ、背が高くておまけに誰にでも優しい、大層おモテになる久保くん。そんな彼が俺の机に一体何を…。
もしやこれは、俺に対する嫌がらせか何かなのか?その現行犯に立ち会ってしまったってことなのか?

中に入るタイミングを完全に逃したため教室の外で怪しくこそこそしていれば、ただ立っているだけだった久保くんが行動を起こし始めたようだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ