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□君は僕の一部
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「ミナトさん、朝ですよ」

「…ん」

「ふふ、おはようございます」

「おはよう…」


心地いい声で起こされて、まだはっきりしない意識の中視界に現れた天使、基オレの奥さん。
寝起きのオレを見て、ふふと笑う姿がまた愛らしい。
ずっと見ていても飽きない、と言葉通り瑠那を見ていれば、疲れていると思ったのか。


「今日はお休みですから、もう少し寝てますか?」


髪の毛を撫でながら言われた。
瑠那はオレの髪の毛を撫でるのが好きなようで、普段は身長差もあって出来ない分、横になっているとよく髪の毛を撫でる。


「起きるよ。折角の休みだし瑠那と一緒にいたいしね」

「ミナトさん…」

「だから、おはようのキス、していい?」


なんて聞いたけど答えを待つつもりはない。
上半身だけ起こして、瑠那の後頭部を引き寄せた。
僅かに漏れた瑠那の声が、朝だというのに興奮させる。


「…これ以上キスしたら、瑠那のこと襲っちゃいそう」


半分冗談だけど、半分本気で言えば顔を真っ赤にして距離を取った瑠那。
賢明な判断だと思う。
頷いたりでもすれば、それこそ本当に1日中ベッドの中で過ごすことになる。


「ご飯出来てますから、早く来て下さいね」

「ん、分かった」


エプロンを翻して寝室を出て行った瑠那を見つめてベッドから出る。
カーテンを開ければ眩しいくらいの太陽が降り注ぎ、思わず目をつぶる。
今日は絶好のデート日和だ。
ああ、でも家でずっとくっついているのもいいかも知れない。
どちらにせよ瑠那の作ってくれたご飯を食べながら決めるとしよう。


「瑠那、今日は何しようか」

「ミナトさんは何したいですか?」

「オレは瑠那が居ればそれでいいよ」

「そう言うなら私だって、ミナトさんがいれば十分です」


予想のつく質問をして、予想道理の答えを返す瑠那。
こんなやりとりはつきあい始めた頃から変わらずしている。


「外に出掛けるのもいいけど、家でゆっくりするのもいいよね」

「そうですね。あ、友達から借りてきたDVDがあるんです。一緒に見ませんか?」

「ん、いいね。それじゃあ今日は家でのんびりだね」

「はい」


そうと決まれば後は早かった。
朝食を済ませて瑠那が食器を片付けている間にオレは洗濯。

洗濯を終えてリビングに戻れば瑠那が掃除をしていたので、後ろから抱きついて首筋に顔をを埋めれば。


「ミナトさん、くすぐったいですよ」


身を捩りながらも本気では抵抗しない瑠那。
本当に可愛いすぎて時々滅茶苦茶にしてしまいたくなる。
…本人には絶対に言えないけど。


「早く終わらせないと一緒にDVD見れないですよ?」

「ん…」

「ね、ミナトさん」


元々本気で困らせようと思っていなかったし、一緒に居られる時間が減るのは嫌なので離れる。
オレも手伝う、と言えば「もう終わるので大丈夫です」と言われ渋々退散。
DVDを見る準備でもしておこう。


「ミナトさん、終わりましたよ」

「ん、こっちも準備できたよ」


ソファーに瑠那がお気に入りのクッションを置いて、紅茶とコーヒーを用意。
瑠那が前から気になっていたと言ってたチョコレートを買っておいてよかった。

5人掛けソファーの真ん中に座ってDVDを準備していれば隣にピッタリとくっついて座った瑠那。
視線が合うと微笑む瑠那は可愛い。


シロクマの一生、というタイトル通り、内容はシロクマ一色だった。
可愛いと思って見ていれば、隣で鼻をすする音が聞こえて驚いた。
瞳いっぱいに涙を溜めて、テレビに目を向ける瑠那。
まばたきをすれば涙がこぼれてしまいそうだ。
そんな表情見てしまえば、DVDなんかに集中出来る訳なく。
目尻にキスをしてみた。


「ミナトさんっ…!」

「瑠那が可愛いから、つい」

「今はDVD見てるんですから駄目ですよ」


距離を取ろうと両手で胸を押されるが、全く効果はない。
むしろそんな可愛い抵抗されては、逆に燃えてしまう。


「DVDよりも、今は瑠那かな」


簡単にソファーに押し倒せば忙しく動きはじめる瞳。
困らせてしまった自覚はあるが、ここで止められない。


「でも、まだ…お昼前、ですよ」

「ん、そうだね」

「折角のお休み、ですし…」

「でも我慢できない」


きっぱりと言えば瑠那は顔を真っ赤にして「あの、」「そのっ」と言葉を発するが、トドメと言わんばかりに「駄目?」と聞けば。


「…っ、優しく、して下さい、ね」

「ん、もちろん」


オレに腕を伸ばしてきたので、そのまま抱き上げて寝室に向かった。




 

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