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□読めないアイツ
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冷たい風が頬にあたり、夜空の星が輝いている。ビルの屋上は流石に冷える。周りの周囲を確認し、部下が麻薬取引の現場を観察するため現場付近を双眼鏡でのぞき込んでいる
「標的の様子は?」
「依然、変化は見当たりません」
芥川龍之介。太宰の部下で異能力、羅生門の使い手。正直俺はこいつが嫌いだ、太宰の野郎の部下という事もあるが、何を考えているのか、先の見えない瞳が気持ち悪い。今回コイツと組むのも正直抵抗があったが、太宰が他の任務についているため、相棒の俺が代わりに相棒の部下の面倒を見るのは当然な事であって、仕方が無いと、胸の内に何度も言い聞かせる。
「来ました」
「!いくぞ」

下手人には能力者もおらず、
あっけ無さすぎて眠っちまうんじゃないかと思うくらい、簡単に仕留めることができた。
予約していたビジネスホテルに帰り、電話でボスに報告する。
「はい、では明日、始発で」
がチャリと古風な音を立て受話器を下ろすと、先に風呂に入っていた芥川がちょうど上がった頃だった。華奢な体にスウェットを身に付け、首にタオルをかけている。
中学生の修学旅行かよ
「芥川、明日の始発で戻るぞ…!」
ち、近い…吐息がかかる位の近さで俺の目を見ている。
「な、何だよ」
「いえ、綺麗な顔だな、と思って」
「は?」
いや、

え?

「そ、そういうのは女に言えよっ」

「貴方だから言ったんですよ」

「冗談、だろ?」

「本気ですよ」

逃げる俺の腕をしっかりと掴み、抱き寄せるようにキスをした。

「芥…川?」

「先輩、好きです」

な、なななな!?

「返事はいつでもいいので」

芥川は笑みを浮かべ、ベッドへと入った。

「あぁ…」

本当に何がしたいんだコイツ。

本気で訳わかんねぇ…

その日中也は、芥川の事が気になりすぎて寝坊し、始発に間に合わなかったとさ。
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