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□変態教師と笑わない猫と・・・
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芥川龍之介(17)
成績優秀、友達はいない。
鈍感。
太宰治(22)
数学教師。変態。
中原中也(22)
保健医。


1時間目の授業。教室の五月蝿さに耐えきれずついまた仮病を使い保健室に向かう、これでもう何度目になるか、中原先生に怒鳴られることを考えると足取りも重くなる。
しかし、居心地の悪い教室よりは何十倍もマシだと考え、保健室の扉へと手を掛ける。

「あれ? 芥川君じゃないか」

「太宰先生・・・」

普段学校にも関わらず保健室でスパスパタバコを吸い、ウイスキーや焼酎を煽る中原先生の姿はなく、先生が普段座ってる革の高そうな椅子には太宰先生が珈琲を啜りながら座っていた。
机を挟んだ席に座るよう促される。

「中原先生は?」

「中也なら腰が痛いとかで休みだよ」

毎日あんなに酒を飲んで昼休みに生徒を追いかけ回して二日酔いすら起こさない中原先生が珍しいものだ。

「太宰先生がなんでここに」

「珈琲を飲みにね。
此処の珈琲は上手くてね、ついつい飲みに来てしまうんだよ。
芥川君も飲み給え。」

毎度毎度僕が来る度にわざわざ中原先生が煎れてくれる珈琲、何度も飲んでいるので味がいいのは承知しているが、この先生が美味しく煎れられるのだろうか。
マグカップを取り出し珈琲を煎れ、僕の目の前に置く。

「砂糖とミルクは要るかい?」

「いえ、お構いなく。」

喉が渇いていたので直ぐに半分程のんでしまった。どうやら誰が煎れても変わりはないらしい。

「あ、そうだ。
何処か体調が悪いんだっけ?」

「はい、少し頭が痛くて・・・」

それらしい嘘をついて誤魔化す。

「じゃあ、其処のベッド自由に使っていいから」

「有難うございます」

珈琲を全て飲み干し、ベッドへと向かう。気を利かせてカーテンを閉めてくれた。
布団にくるまり目を閉じる微かに香る消毒液の匂いが鼻孔を刺激する。

暫くして、体に違和感を覚えた。
鼓動が早まり、顔が火照る。呼吸もままならない。

「せん、せい・・・!」

「どうしたんだい?」

扉の鍵が締まる音がしてから先生がカーテンを開け、近くに駆け寄る。

「はぁっ躰が、酷く熱いんですっ」

「どれどれ・・・」

「んぅっ・・・!」

先生が自分の額と僕の額をくっつける、それだけで体が反応して更に熱を増す。

「良く分からないなぁ・・・何処が熱いんだい?」

「あぁっ、ぜ、全部っです」

「取り敢えず熱を逃がすように服脱いでみよっか」

シャツを脱がされ、胸がさらけ出される。

「大丈夫かい? 顔真っ赤だよ?」

頬に手が触れる、冷たい先生の手が心地よい。

「はぁっ・・・はあっ・・・」

「・・・直ぐに楽にしてあげるからね?」

そう言って太宰先生は微笑んだ。




………

痛い、兎角腰が痛い。
普通平日にあんなにヤるか?
昨日太宰の所為で駄目にした腰をさすりながら職員室の扉を開ける。

「・・・おはようございます」

宮沢先生が驚いた様にこちらを向く、

「あれ? 中原先生今日は休みなんじゃ・・・?」

「いえ、今日は薬を買いに行ってて11時からだったんです」

丁度消毒液やガーゼが底をつきかけていた。それに家の湿布も、

「あれ? 太宰先生がお休みって言ってらしたんですけどね」

・・・

「太宰先生は今何処にいますか?」

「保健室ですよ? さっき行ったんですけど何故か扉が閉まってて・・・」

宮沢先生の言葉を最後まで聞かずに職員室から足早に立ち去った。
マズイ、非常にマズイ。
あの間男あれ程やるなと言ったのに、ことが起こる前に早く止めないと、いや、もう遅いかもしれない。


………


バッターン! とかなり大きな音が外から聞こえた。
慌てて外を見ると、中也が扉を蹴破っていた。
言葉がしどろもどろになる。

「ち、中也?! 君、休みなんじゃ・・・」

「誰が休むっつったよ?あぁ?」

全身から溢れ出る殺気が半径3キロくらいまで届きそうだ。こっちまで毛が逆立つ。

「だ、だって昨日・・・」

私が言うのを聞く素振りも見せずにスタスタと芥川が居るベッドへと向かう、

「ま、まって中也! そこはっ」


………



簡易ベッドのカーテンを開くと、シャツがはだけ、あられもない姿を晒している芥川がいた。頬も紅潮し、息も荒い。

「太宰、手前・・・」

「いや・・・これは、その・・・」

「間男だとは知っていたが、まさか生徒にまで手を出すとは・・」

「・・・」

「おいおい、言い返す言葉もねぇってか?
芥川に媚薬もって何するつもりだったんだって聞いてんだよ」

苦虫をかみつぶすような顔で慌てふためく太宰。

「一回くらいいいかなって」

プツっと血管のキレる音がした。
太宰をフルボッコにし、そのまま保健室の窓から投げ出した。
べしっと言う情けない音がしてそれから動かないがまあよしとしよう。
問題は、

「おい、大丈夫か?」

「はぁっ・・・せん、せい・・・!」

甘ったるい声を何とか絞り出しているが、かなり辛いようだ。

「こりゃ重症だな・・・」

どうしようか頭をかいていると、弱々しく腕を掴まれた。

「せんせいっ・・・楽に、してください」

「・・・そう言われてもな・・・」

太宰に言った手前。手を出しにくい

「お・・・願い、します
せんせい・・・! もう、無理…」

「・・・後悔しても知らねぇからな」

カーテンを雑に閉めた。

………
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