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□苦労が絶えない
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探偵社はいつも以上に忙しい。
仕事の依頼が急増し、社員全員駆り出されている。
正に猫の手も借りたいとはこのことだ。
それなのにこの男は・・・

「いい加減仕事に行け」

一番の稼ぎ頭である江戸川乱歩が一切の仕事をしない。

「えー、だって面白そうじゃないんだもん」

もっと狂気的なイイ感じのないのー?と退屈そうに風船ガムを膨らませ、俺の肩を揉んでいる。

「いいから行け」

「絶対やだ、僕に対してのメリットがない」

またそれか、

「じゃあ褒め」

「えーやだ」

いつもなら褒めてやるの一言で飛んでいくのだが、今日は一筋縄じゃいかない様だ。

「・・・何をして欲しいんだ?」

ピクリと止まり、暫く考えた様な素振りを見せて

「何でもいいの?」

「可能な範囲でな」

ガムを紙に包みゴミ箱に放物線を描く様に放り投げた

「じゃあさ、しゃちょーからキスしてよ」

「・・・ことわ」
「・・・断るなんて言わせないよ?社長」

「・・・・・・」


「ねー早くーってうわぁあっ!」

マントのフードを引っ張り触れるだけのキスをする。

「・・・もーいっかい!」

直ぐにフードを離そうとしたが乱歩が腕を掴み、引き寄せる。突然の出来事に気が緩んだ隙に舌を入れてくる。

「ぁっ・・・らん、ぽっ・・・」

「んぅっ・・・! ぶはっ」

呼吸がままならず、無理矢理引っペがす。

「はぁっ・・・おかわりも貰ったし、行ってきまーす社長!」

バタンッと大きな音をあげ、嵐が去っていった。 毎日あれなんだからこっちの身が持たない。

「・・・はぁ」

今日も疲れは、溜りに貯まる一方だった。
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