My secret...

□第3章
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翌朝目が覚めると、目の前にキルアの顔があった。

驚きで数秒固まるが、昨日一緒に寝たんだったと思い、キルアの寝顔を見つめた。
睫毛長い。肌も綺麗だ。


「人の寝顔見つめて楽しいのかよ」


突然そう聞こえ、キルアが目を開けた。

至近距離で目が合い、心臓が飛び跳ねた。


「楽しいっていうか…」


そう言いながら目を反らすが、キルアは俺の顔を手で包み、自分の方に向けた。


「…楽しいっていうか?」

「………っ何でもない!」


赤くなる頬を必死に隠して起き上がると、キルアはけらけらと笑う。


「照れたのか?」

「…うるせ」


そう言ってキルアから顔を背け、携帯で時間を確認すると、丁度7時になるところだった。

確か、8時に次の試験会場だったっけ。


思案している内に頬の熱さはなくなり、俺はほっと息をついた。

そんな俺を、キルアが目を細めて見つめていたことは知らないまま。


キルアは服を着て、受験生たちの集まる部屋へ向かった。

キルアの服、キルアがシャワー浴びている間に洗濯してやればよかったかも。
今更そんなことを思ったが、本人は気にしていない様子だしいいか、と考えた。


部屋に着くと、受験者達の驚きの声が聞こえた。
どうやら、到着時間が遅れているらしい。

クラピカとレオリオを見つけておはよ、と声をかけると、2人もおはよう、と笑う。


2人にゴンは、と問うが知らないらしい。
その時、声がした


「ゴンなら遊戯場で寝ておるぞ」


声がした方を見ると、ネテロさんが歩いてきている。


「ゴン、昨日あのまま寝たのかよ!」

「さすがと言うべきか…」


目を見開くキルアとクラピカに、ネテロさんが告げる。


「ああ、それでわしが機長にゆっくり飛んでくれと頼んだのじゃ」


ネテロさんなりにゴンを心配してくれたようだ。


「昨日?何かあったのか?」


一人疑問符を浮かべるレオリオに、キルアが説明をする。


「昨日遊戯場であのじいさんとゲームしたんだよ。ボール奪えたらハンターの資格やるって言われてな」


まじかよ、と顔を顰めるレオリオに、キルアが更に続ける。


「そんでイルはボール奪うしよ」

「っはぁ!?あのじいさんからか!?」


大きく声を上げるレオリオを、俺は睨む。


「わ、悪いイル…でも、すげぇじゃんか」


そう言って俺の頭をわしわしと撫でるレオリオ。
俺は笑う。


「いや、向こうから攻撃しないとは言われてたからな。攻撃されてたら絶対負けるよ」


特に、ネテロさんのような熟練の念の使い手とは、絶対に戦いたくない。
まぁ、それはヒソカも同様だけど。


「じゃあ、イルは合格者第1号ってことか?」

「それについては、わしに考えがあるんじゃ」


よかったな、と言うレオリオの声を遮ったのは、またしてもネテロさんだった。

声を大にして、受験者全員に聞こえるように言う。


「昨晩わしとゲームをした者がいる。わしからボールを奪えたらハンターの資格をやると言ってな」


ネテロさんは顎髭を撫でながら笑う。


「だが少し油断し、その中の1人にはボールを奪われてしまったんじゃ」


受験者全員の息を飲む音が聞こえた。

誰だ、なんて囁く声もする。


「このチャンスは数人にしかなく、かなり不平等なものじゃ。わしに勝てる力があったにも関わらずチャンスがなかった故資格を得ていないものもおるかも知れん」


そこでじゃ、とネテロさんは指を立てる。
なんとなく凝をしてみると、そこには念の字で"心配しなさんな"とあった。

小さく笑みを零すと、ネテロさんも頷いて続けた。


「その合格者には、受験者が行う課題とは別の課題を用意する。それに合格したら、その者は晴れて正式なハンターとする」


どうじゃ、と言ったネテロさんに、反対する受験者はいなかった。

内心息をついた俺の肩に、キルアが手を置いた。


「よかったな、イル」


キルアの言葉に、俺はおう、と笑った。



しばらくするとゴンもやって来て、飛行船は次の試験会場に着いたようだった。





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