Black, Kind, Memories
□第2章
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やってきました、合宿!
あたし達がやって来たのは、ある海辺の街。
夏休みと言うこともあり、浜辺には多くの人がいる。
『……なんだろう…』
拓人「…瑠衣?」
声を漏らしたあたしに拓人が問いかける。
『…なんか、見たことある気がするの』
拓人「…この街をか?」
頷くと、拓人は顎に指をあてた。
拓人「…それはおそらく…」
蘭丸「瑠衣、神童!泊まるところ向かうってよー!」
拓人の声を遮った蘭丸に返事をして、拓人と共に蘭丸を追いかけた。
なんと鬼道コーチは、合宿用に鬼道財閥の別荘を貸してくれた。
部屋がいっぱいあるらしく、合宿メンバー全員が泊まれるらしい。
別荘に行き、荷物を置きに行く途中、春奈先生が笑顔で言う。
春奈「さて、ここで部屋割りを発表するわー」
天馬「もうちょっと前に発表してくださいよ…」
輝「音無先生まさか男女ごっちゃにしてませんよね…?」
天馬くんや輝くんが汗を垂らすと、春奈先生はふっふっふ、と笑う。
春奈「その通りよ!男女ごちゃごちゃにしたわ!」
思わずえええ、とため息をつく。
私は気にしないけど、葵ちゃんや茜は気にしないだろうか。
…水鳥も気にしないかもしれない。
春奈「とりあえず円堂監督・鬼道コーチ・私は一人部屋ね」
春奈先生がこんな感じよ、と部屋割りの書かれた紙を掲げる。
ハートマークがたくさん書かれているのは気のせいだろうか。
*A部屋*5人
・瑠衣・拓人・蘭丸・マサキ・輝
*B部屋*5人
・三国・天城・錦・信助・水鳥
*C部屋*5人
・車田・倉間・浜野・速水・茜
*D部屋*5人
・一乃・青山・天馬・剣城・葵
葵ちゃんが春奈先生に何かを耳打ちするが、あたしには聞こえなかった。
葵「音無先生、仕組みましたね?」
春奈「だってこうしないと楽しくないじゃない!瑠衣さんと神童くんと霧野くんねー…最近は狩屋くんも影山くんも気になってるみたいだし…」
葵ちゃんが春奈先生の言動に冷や汗を浮かべている。
何を言われたのかなぁ。
春奈「残念だったのは剣城くんと天馬くんね…彼らもいっしょにしたかったわ!」
葵は思う。
音無先生若いなぁ、と。
苦笑する葵ちゃんに、あたしが声をかける。
『葵ちゃん、荷物置きに行こう!』
葵「あ、はい!」
それぞれの部屋に向かう途中、みんなが何かを話している。
拓人「…霧野、瑠衣と同じ部屋だな」
蘭丸「…あぁ。瑠衣の隣のベットは渡さないからな」
マサキ「俺がいること忘れないでくださいよ、先輩?」
輝「ぼ…僕だって…!」
『4人とも…さっきから何こそこそ話してるの?部屋、着いたよ?』
鬼道監督からもらった部屋の鍵を使い、部屋に入った。
部屋に入ると、大きな窓が目に入った。
『わぁ、海が綺麗!』
窓の方に行き、外を眺める。
空と海と砂浜がすっごく綺麗。
蘭丸「確かにすごいな…」
『うん………あれ?』
マサキ「どうしたんですか?」
あたしが見つけたのは、砂浜でなぜかバスケをしている人たち。
指示をしている人と、あの人…
『ちょっと行ってくる!』
拓人「おい、瑠衣!」
拓人が止めるのも聞かず、あたしは走りだした。
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